久保凛選手は、女子800mの日本記録1分59秒52を持つ18歳です。2024年7月、高校2年で日本人女子として初めて800mの2分を切りました。翌2025年7月の日本選手権では、2005年から残っていた日本記録2分00秒45を塗り替えています。2026年春に積水化学へ進み、社会人1年目で日本選手権3連覇。9月には日本開催のアジア競技大会(愛知・名古屋)に臨みます。公式リザルトで確認できた記録だけを使い、中学からの主要戦績と記録の伸び、公式ラップから読み取れるレースの特徴を整理しました。

この記事でわかること

  • 久保凛選手のプロフィールと、保持している日本記録・年代別記録の一覧
  • 2分09秒台から1分59秒52まで、年ごとの自己ベストの伸び
  • 全日本中学校陸上の優勝から日本選手権3連覇までの主要戦績
  • 公式ラップと本人の言葉から見える「レースプランの転換」
  • アジア大会2026の女子800mが何月何日の何時に行われるか

久保凛選手のプロフィール|18歳の女子800m日本記録保持者

まず基本情報です。すべて日本陸連の選手プロフィールと積水化学の公式選手ページ、大会公式リザルトで確認しています。

項目内容
氏名久保 凛(くぼ・りん)
生年月日2008年1月20日(2026年9月現在18歳)
出身地和歌山県串本町
身長168cm
出身校串本潮岬中(和歌山)→ 東大阪大学敬愛高(大阪)
所属積水化学(2026年入社)
練習拠点・指導者TWOLAPS/横田真人コーチ
主種目800m(1500m・1000mでも年代別日本記録を保持)

なお、本人名義のSNSアカウントは、日本陸連・積水化学・World Athleticsのいずれの公式ページにも記載がありません。そのためこの記事では、本人の投稿の埋め込みは行わず、公式に発表されたコメントと日本陸連公式チャンネルの動画のみを使っています。

TWOLAPSは、横田真人コーチが指導にあたる練習拠点です。中学は和歌山、高校の3年間は大阪を拠点に競技を続け、2026年3月中旬に関東へ転居して社会人になりました。積水化学女子陸上競技部の公式noteで、本人は入部の理由をこう語っています。

積水化学さんに入って、TWOLAPSの横田さんに見ていただきたいという、強い想いがありました。(横田コーチは)しっかり向き合ってくださるというか、声をかけてくださったり、一人ひとりを見てくださるので、信頼しています。

同じ記事で、2026年度の目標として「アジア大会とU20世界選手権での優勝」を挙げ、目標タイムを聞かれて「まずは自己ベストを0.1秒でも縮めたいなと思うので、1分59秒51にしときます(笑)」と答えています。

高校2年で日本人女子初の2分切りを果たした2024年には、日本陸連のアスレティックス・アワードで新人賞を受賞しています。受賞コメントは日本陸連の公式チャンネルで公開されています。

自己ベストの推移|2分09秒台から1分59秒52へ

800mの年次ベスト

日本陸連のプロフィールに掲載された年次ベストと、各大会の公式リザルトを突き合わせたものです。

年学年など記録大会日付
2022中32:09.96第49回全日本中学校陸上競技選手権 決勝(優勝)2022/8/19
2023高12:06.05※日本陸連の年次ベスト。大会名は公式に特定できず—
2024高21:59.932024年度第1回長距離強化記録会(奈良)2024/7/15
2025高31:59.52第109回日本選手権 決勝(日本新)2025/7/5
2026社会人1年目2:01.54第110回日本選手権 決勝2026/6/13

中学3年の2分09秒96から、高校2年で1分59秒93。2年間で10秒以上縮めていることになります。1分59秒93は2024年7月15日、奈良県立橿原公苑陸上競技場で行われた長距離強化記録会でのもので、日本人女子として初めて800mで2分の壁を破った走りでした。

翌2025年7月5日、国立競技場での第109回日本選手権決勝で1分59秒52。これが現在の日本記録です。それまでの日本記録は、杉森美保選手が2005年の日本選手権で出した2分00秒45でした。日本記録の前段には、2025年5月3日の第40回静岡国際で出した2分00秒28(大会記録・当時の自己2番目)があり、5月末のアジア選手権2分00秒42と合わせて、シーズン前半から2分00秒台で安定していました。

800m以外の自己ベスト

800m一本ではなく、前後の距離でも記録を持っています。

種目記録大会日付
400m54.68大阪高等学校春季地区別記録会(3・4地区)2025/4/19
1000m2:40.23奈良市陸上サーキット2025/3/29
1500m4:11.07インターハイ近畿地区予選会2025/6/13
3000m8:59.74(横浜・日体大健志台)2024/11/9

400mで54秒台を持ち、3000mで9分を切っている。この幅の広さが800mを支えています。800mという種目にどんな能力が必要かは、800m練習メニュー完全ガイドで目標タイム別に整理しています。

保持している記録の一覧

日本陸連の日本記録、U20日本記録、U18日本記録の各ページで、1件ずつ確認したものです。

記録種別種目記録樹立日
日本記録800m1:59.522025/7/5
U20日本記録800m1:59.522025/7/5
U20日本記録1000m2:40.232025/3/29
U18日本記録800m1:59.522025/7/5
U18日本記録1000m2:40.232025/3/29
U18日本記録1500m4:11.072025/6/13
日本高校記録800m1:59.522025
日本選手権大会記録800m1:59.522025
インターハイ大会記録800m2:00.812024

日本記録・U20日本記録・U18日本記録・日本高校記録・日本選手権大会記録が、すべて同じ1分59秒52。この5つの記録が、いずれも2025年7月5日の同じ1本の記録になっています。

1分59秒52はどのくらい速いのか

数字だけを見てもピンと来ないかもしれないので、いくつかの基準と並べてみます。

基準記録久保選手との関係
久保凛選手の日本記録1:59.52400mあたり平均59秒76のペース
自己2番目の記録(2025年静岡国際・大会記録)2:00.28日本記録の約2か月前
世界選手権の参加標準記録(2025年)1:59.000.52秒届かなかった
アジア大会2026の派遣設定記録2:01.672026年の日本選手権 2:01.54 で突破
更新前の日本記録(杉森美保選手・2005年)2:00.450.93秒更新

400mを平均59秒76で2周する計算です。久保選手の400mの自己ベストは54秒68(2025年4月・大阪高校春季地区別記録会)ですから、単独の400mより約5.1秒遅いペースを2本続けていることになります。800mが「全力に近いスピードをどれだけ落とさずに保てるか」の勝負だと言われる理由が、この数字に表れています。

世界選手権の参加標準記録1分59秒00には、日本記録を出した2025年時点で0.52秒届きませんでした。日本記録を持ちながら、世界の入口はまだ先にある。この距離感が、2026年のレースプラン変更につながっていきます。

国内の戦績|全中優勝から日本選手権3連覇まで

中学時代

2022年8月19日、福島のとうほう・みんなのスタジアムで行われた第49回全日本中学校陸上競技選手権の女子800m決勝で、和歌山・潮岬中3年として2分09秒96で優勝しています。

このときの2分09秒96は、日本中学記録(2分07秒19・高橋ひな選手/2013年)には届いていません。全国優勝はしていたものの、この時点では「中学記録に迫る選手」ではありませんでした。記録が跳ねるのは高校に入ってからです。

高校時代(東大阪大学敬愛高)

インターハイの女子800mで3年連続優勝を果たしました。高校在学中から日本グランプリシリーズにも出場し、2024年は出場した国内グランプリと日本選手権をすべて制しています(順位は日本陸連の公式プロフィール、記録は各大会の公式リザルトによる)。

年大会・種目順位記録
2023インターハイ(北海道)800m優勝2:06.41
2024インターハイ(福岡)800m優勝2:00.81(大会記録)
2025インターハイ(広島)800m優勝2:02.34
2025インターハイ(広島)1500m3位4:11.38
2024金栗記念 800m優勝2:05.35
2024静岡国際 800m優勝2:03.57
2024木南記念 800m優勝2:05.11
2024ヨギボーチャレンジ 800m優勝2:01.25
2025金栗記念 800m優勝2:02.58
2025静岡国際 800m優勝2:00.28(大会記録)
2025木南記念 800m2位2:02.29

2024年の2分00秒81は、現在もインターハイの大会記録として残っています。久保選手が高校を卒業したあと、2026年夏のインターハイ・全中の結果はインターハイ陸上2026結果まとめにまとめました。

日本選手権3連覇

高校2年だった2024年から、3年続けて日本選手権の女子800mを制しています。

回日付会場記録備考
第108回2024/6/30デンカビッグスワン(新潟)2:03.13高校2年で初優勝
第109回2025/7/5国立競技場1:59.52日本新・U20日本新・U18日本新・大会新
第110回2026/6/13パロマ瑞穂スタジアム(名古屋)2:01.542位に0.13秒差。アジア大会派遣設定記録を突破

第110回は社会人になって最初の日本選手権でした。優勝と同時に、アジア大会の派遣設定記録2分01秒67を突破し、代表内定を決めています。派遣設定記録とは、日本代表として派遣するために日本陸連が種目ごとに設ける記録の基準です。

日本記録を出した第109回日本選手権の決勝は、日本陸連の公式チャンネルで公開されています。

【第109回日本選手権】女子 800m 決勝

国際大会での戦い|アジア選手権銀・世界陸上・U20世界選手権

高校在学中から国際大会に出続けている選手でもあります。

日付大会結果
2024/8/30U20世界選手権(リマ/ペルー)決勝6位 2:03.31(準決勝1組1着 2:03.00)
2025/5/31第26回アジア選手権(グミ/韓国)2位・銀メダル 2:00.42
2025/9/18東京2025世界陸上予選3組7位 2:02.84(準決勝進出ならず)
2026/8U20世界選手権(ユージン/米国)決勝5位 2:04.00(予選2組1着 2:03.27、準決勝1組3着 2:04.37)

2025年9月の東京2025世界陸上は、17歳で迎えた初めての世界選手権でした。予選3組7位で敗退した直後、日本陸連の公式コメントにこう答えています。

17歳で初めての世界陸上に出られて、それが東京というのは、すごくすてきだと思います。これからにつなげて、今回の経験を無駄にしないようにしたいです。

一方、2026年8月のU20世界選手権は5位入賞ながら、本人にとっては悔しい大会になりました。帰国後の会見では、予選のあとに右前ももを痛めていたことを明かしたうえで、こう語っています。

全然、自分の思うようなレースができなかった。

自分の力を最大限に発揮できずに終わってしまい、自分の弱さを感じる結果となった。

「入賞できたことはよかったけれど、全然嬉しさはなく、悔しい気持ちのほうが大きい」とも述べ、続けてアジア大会に向けて「自分の思うようなレースをして、力を100%出しきったと思えるような走りをしたい」と話しました。

この大会のタイムを並べると、本人の言葉が数字でも確認できます。予選2分03秒27、準決勝2分04秒37、決勝2分04秒00。ラウンドを重ねても予選のタイムに戻せていません。通常なら決勝がいちばん速くなるところが、そうならなかった。予選のあとに右前ももを痛めたという事実が、この推移に表れています。

対照的なのが2025年です。5月31日のアジア選手権で2分00秒42、その5週間後の7月5日の日本選手権で1分59秒52。5週間で0.90秒縮めています。国際大会をひとつ挟んでから国内の大一番にピークを合わせる組み立てで、2026年もU20世界選手権(8月)からアジア大会(9月)へという同じ形をとっています。

2026年シーズンの歩み

社会人1年目のシーズンを、公式リザルトとWorld Athleticsのデータベースで確認できる範囲で並べます。

日付大会順位記録
2026/5/30TWOLAPS Middle Distance Circuit1位2:02.76
2026/6/13第110回日本選手権 決勝優勝2:01.54
2026/7/11Sunset Tour(米国・ロサンゼルス)8位2:03.07
2026/7/14Jerome Classic(カナダ)3位2:02.57
2026/8U20世界選手権 決勝(ユージン)5位2:04.00

日本選手権で2分01秒54を出したあと、7月に北米で2戦。夏の主戦場をU20世界選手権に置き、そこから9月のアジア大会へ向かう組み立てです。2025年のような1分59秒台はまだ出ていませんが、日本選手権の2分01秒54を最速に、2分01〜04秒台のレンジで大崩れなく走り切っています。

レースの特徴|公式ラップと「レースプランの転換」

公式リザルトに残る400m通過

800mはペース配分で結果が変わる種目です。ただし日本選手権のリザルトPDFにはラップ表が載っていないため、公式に確認できる通過タイムは限られます。第78回インターハイの公式リザルトには400m通過が記載されているので、そこから読み取れる2本を並べます。

レース400m通過後半400m前後半の差記録
2025/7/27 予選6組 1着59.6867.03+7.35秒2:06.71
2025/7/28 決勝 優勝58.2564.09+5.84秒2:02.34

800mでは後半が前半より遅くなるのが普通なので、この「前後半の差」がどれだけ小さいかが、最後まで持ったかどうかの目安になります。

決勝は前半を予選より1.43秒速く入りながら、差を1.51秒縮めています。速く入ってなお垂れなかった、つまり余力を残して勝ったレースだということが、数字だけでわかります。2位には2秒40の差をつけました。逆に予選の+7.35秒は後半をはっきり流した形で、通過順位さえ取れればよい予選で脚を残していたことになります。同じ選手が2日のあいだで、差を意図的に使い分けているわけです。

前後半の差は、正式なラップ計測がなくても出せます。400m通過を誰かに読んでもらうか映像から拾い、最終記録から引くだけで、記録する項目は400m通過・最終記録・順位の3つで足ります。差が+8秒を超える日が続くなら後半のスタミナ、差が小さいのに記録が伸びないなら前半のスピードが課題、という読み方ができます。予選と決勝を並べれば、久保選手の+7.35秒と+5.84秒のように、同じ選手でも走り方で差が変わることを自分の数字で確認できます。

積水化学の公式noteも、久保選手を「前半から自分でレースを動かし、ラストの切り替え・スパートが魅力」と紹介しています。

日本記録のときは「全部自分で行こう」

日本記録を出した第109回日本選手権のあと、本人は日本陸連の公式コメントでレースプランをこう説明しています。

前半から自分のレースをして、先頭を引っ張り、2周目は(ペースが)落ちないようにということで、全部自分で行こう。

同じ会見で「今季、ずっと2分が切れていなくて、2連覇もかかっていて、すごく緊張するレース」だったこと、世界選手権の参加標準記録1分59秒00には届かなかったものの「自己ベストを出すことができ、納得のいく走りができた」ことを語っています。

2026年は「後ろでリラックスして走る」へ

ところが社会人1年目の2026年、レースプランを明確に変えています。第110回日本選手権で3連覇を決めた直後の公式コメントです。

予選では、最後の200(m)で脚が動かなくなってしまっていた。前半で力んでしまっていたという反省があったので、前半と後半をイーブンで走り、前半のリズムを保ち、(先頭ではなく)後ろでリラックスして走るというレースプランに変えて臨んだ。

「引っ張って押し切る」から「イーブンで、後ろでリラックス」への転換です。理由として本人が挙げたのは、同じ大会の予選で前半に力み、最後の200mで脚が動かなくなったことでした。時計を狙う走りから、勝ち切るための走りへ。実際、第110回はフィニッシュ直前での逆転勝ちでした。

このレースを伝える日本陸連公式チャンネルの動画は、タイトルで「フィニッシュ目前の大逆転で3連覇達成」と表現しています。先頭を引っ張って押し切った2025年とは対照的に、最後の直線で前に出る勝ち方でした。

【陸上・日本選手権】女子800m・久保凛、フィニッシュ目前の大逆転で3連覇達成!アジア大会日本代表内定

日本記録を出した2025年の映像と見比べると、同じ選手が1年でどれだけ違う勝ち方をしているかがわかります。2025年は自分でペースをつくって時計を狙うレース、2026年は勝ち切ることを優先したレース。狙うものが変われば、走り方も変わるということです。

同じコメントで、本人はこう続けています。

日本開催の名古屋でのアジア大会。もっとレベルアップして、「(久保なら)間違いないな」と安心して見てもらえるくらいの力をつけて、この競技場に返ってきたい。

第110回日本選手権の会場だったパロマ瑞穂スタジアムは、そのままアジア大会の陸上競技会場です。

中高生が参考にできる3つの視点

日本記録保持者の練習をそのまま真似することはできませんが、公開されている事実から持ち帰れる考え方はあります。

  1. 走れる距離のレンジを広く持つ — 400mで54秒68、3000mで8分59秒74。800mの前後どちらにも振れる能力が、レース終盤の選択肢をつくっています
  2. レースプランは固定しない — 2025年は「前半から引っ張る」、2026年は「イーブンで後ろでリラックス」。同じ選手が1年で組み立てを変えています
  3. ラウンドごとのタイム推移を残す — 予選・準決勝・決勝と重ねたときに記録がどう動いたかは、コンディションの記録そのものになります

3番目は、中高生でもすぐに真似できます。予選から決勝までのタイムを並べておけば、大会を通してどこで消耗したかが後から見えます。種目としての練習の組み方は800m練習メニュー完全ガイド、久保選手以外の2026年の注目選手は陸上の注目選手2026にまとめています。

アジア大会2026|名古屋・パロマ瑞穂で9月29日決勝

ナイター照明に照らされた無人の陸上競技場のトラック

久保選手は2026年6月15日に発表された日本代表に、女子800mで内定しています。第110回日本選手権で優勝し、派遣設定記録突破による内定です。

項目内容
大会第20回アジア競技大会(愛知・名古屋2026)
大会期間2026年9月19日(土)〜10月4日(日)
陸上競技2026年9月23日(水)〜29日(火)
会場パロマ瑞穂スタジアム(名古屋市瑞穂公園陸上競技場)
女子800m 予選9月28日(月)20:20
女子800m 決勝9月29日(火)19:50
日本のエントリー久保凛、塩見綾乃

女子800mに準決勝は設定されておらず、予選の翌日が決勝です。日程は日本陸連のアジア大会特設サイトの競技日程で確認できます。大会全体の日程と他種目の見どころはアジア大会2026陸上の日程×日本代表ガイドにまとめました。

U20世界選手権のあと、日本陸連の公式チャンネルでは「アジア大会では優勝と自己ベストを更新」というタイトルのコメント動画が公開されています。自己ベストの更新とは、1分59秒52を上回るということです。

【陸上U20世界選手権】女子800m5位 久保凛 コメント「アジア大会では優勝と自己ベストを更新」

アジア大会で必要なタイムを自分の記録から逆算する

久保選手がどこまで戻せば優勝争いに届くのかは、自身の記録から逆算できます。2025年5月の第26回アジア選手権(韓国・グミ)で、久保選手は2分00秒42で2位・銀メダル。アジアの大陸選手権で表彰台に立てる水準にあるということです。

一方、2026年シーズンのベストは日本選手権の2分01秒54。アジア大会の派遣設定記録はクリアしていますが、アジア選手権で銀メダルを取ったときの2分00秒42には1秒以上届いていません。本人が掲げる「優勝と自己ベスト更新」を両方満たすには、2025年7月に出した1分59秒52を上回る必要があります。

記録タイムいつ
自己ベスト(日本記録・前掲)1:59.522025/7/5 日本選手権
アジア選手権 銀メダル2:00.422025/5/31 グミ
2026年シーズンベスト2:01.542026/6/13 日本選手権
アジア大会 派遣設定記録(前掲)2:01.67(2026年の日本選手権で突破済み)

つまりアジア大会は、2026年のここまでのベストから2秒前後を戻せるかどうかがひとつの目安になります。なお、過去のアジア大会女子800mの優勝記録は公式ソースで確認できなかったため、この記事では優勝タイムの予想は書きません。

準決勝なし・予選翌日が決勝の2レース制をどう走るか

もうひとつの注目点が日程です。女子800mは9月28日の予選と29日の決勝だけで、準決勝がありません。世界選手権のように予選・準決勝・決勝の3ラウンドを3〜4日でこなす形と比べると、体への負担は軽くなります。

ただし久保選手は、第110回日本選手権の予選で前半に力んで最後の200mで脚が止まったことを反省点に挙げていました。予選が28日20時20分、決勝が29日19時50分。約23時間半後にもう一度走る日程です。予選をどれだけ省エネで通過できるかが、そのまま決勝の走りを左右します。2025年のインターハイ予選で400m通過59秒68・2分06秒71と明らかに流して通過したような組み立てができるかどうか。ここが最初の見どころです。

日本からはもう1人、塩見綾乃選手がエントリーしています。第110回日本選手権の女子800mで2位に入った選手で、アジア大会でも同じレースを走ります。

よくある質問

久保凛選手の800mの自己ベストは何秒ですか?

1分59秒52です。2025年7月5日、国立競技場で行われた第109回日本選手権の女子800m決勝で記録しました。これが現在の日本記録でもあります。公式リザルトで確認できる範囲で2分を切ったのは、2024年7月15日の1分59秒93(奈良県立橿原公苑陸上競技場での長距離強化記録会)と、この1分59秒52の2回です。

女子800mの日本記録は誰がいつ出したものですか?

久保凛選手が2025年7月5日の日本選手権で出した1分59秒52です。それ以前の日本記録は、杉森美保選手が2005年の日本選手権で出した2分00秒45でした。日本人女子で800mの2分を切ったのは久保選手が初めてです。

久保凛選手は800m以外にどんな種目に出ていますか?

主戦場は800mですが、1500mでも2025年のインターハイで3位(4分11秒38)に入っており、同年6月のインターハイ近畿地区予選会で出した4分11秒07はU18日本記録です。1000mの2分40秒23はU20・U18の日本記録、400mの自己ベストは54秒68、3000mは8分59秒74。400mから3000mまで幅広く走れる選手です。

出身校と所属、指導者は誰ですか?

和歌山県の串本潮岬中から、大阪の東大阪大学敬愛高へ進学。2026年に積水化学へ入社し、TWOLAPSの横田真人コーチの指導を受けています。入部理由について本人は公式noteで「TWOLAPSの横田さんに見ていただきたいという、強い想いがありました」と語っています。競技者登録は高校時代が大阪、2026年からは東京です。

アジア大会2026の女子800mはいつ行われますか?

予選が2026年9月28日(月)20時20分、決勝が9月29日(火)19時50分です。会場は名古屋のパロマ瑞穂スタジアム。準決勝は設定されていません。日本からは久保凛選手と塩見綾乃選手がエントリーしています。

まとめ

久保凛選手について、公式ソースで確認できた事実を整理します。

  • 2008年1月20日生まれの18歳。和歌山・串本潮岬中→東大阪大学敬愛高→積水化学(2026年入社)
  • 女子800mの日本記録1分59秒52(2025年7月5日・日本選手権)。日本人女子で初めて2分を切った選手
  • 同じ記録で日本記録・U20日本記録・U18日本記録・日本高校記録・日本選手権大会記録を保持。1000mと1500mでも年代別日本記録を持つ
  • 中学3年の2分09秒96から高校2年の1分59秒93まで、2年間で10秒以上短縮
  • 全日本中学校陸上優勝、インターハイ800m3年連続優勝、日本選手権3連覇。アジア選手権2位、U20世界選手権6位・5位、東京2025世界陸上出場
  • 2025年は「前半から引っ張る」レース、2026年は「イーブンで後ろでリラックス」へプランを転換
  • アジア大会2026は9月28日予選・9月29日決勝。日本開催の名古屋・パロマ瑞穂スタジアムで、本人は優勝と自己ベスト更新を目標に掲げている

日本記録保持者でも、1年で記録が動き、レースプランを組み替えます。自分の走りを伸ばすうえでも、いつどんな設定で走り、レースでどう入ったのかを残しておくことが土台になります。陸上練習ノートアプリ「TRACK HUB」なら、練習メニューとレースのラップをその場で記録して、シーズンごとの変化を振り返れます。久保選手の年次ベスト表のように、自分の記録推移を並べるところから始めてみてください。