陸上男子100mの2026年日本ランキングを、TOP30まで表にまとめました。今季の日本最高は桐生祥秀(日本生命)の10秒03(8月9日・富士北麓ワールドトライアル)。10秒19以内に30人がひしめく、近年でも指折りの密集シーズンです。この記事では順位・記録・風速・所属だけでなく、どの大会で出た記録なのかまで全行に載せました。公式リザルトで1行ずつ突き合わせた、風速つきのランキングです(集計基準日9月6日。9月5日開幕の日本インカレは次回更新で反映)。女子は女子100mランキング2026にまとめています。

この記事でわかること

  • 2026年シーズンの男子100m日本ランキングTOP30(記録・風速・所属・大会・日付つき)
  • 今季どの大会で速いタイムが出ているのか(大会別の記録産出マップ)
  • 「追い風参考」でランキングに載らない記録があること(桐生の9秒99、富士北麓の10秒06)
  • 日本歴代10傑と日本記録、9秒台ランナーが何人いるか
  • 高校生・U20の日本記録と、今季上位に食い込んだ若手

2026年 男子100m 日本ランキングTOP30

青いオールウェザートラックのレーンとスタートライン

集計基準日は2026年9月6日です。同記録は同順位とし、TOP30は28位まで(30人)を掲載しています。区分は「高=高校生/大=大学生/社=実業団・クラブ・陸協など」を表します。

順位記録風速選手名所属区分大会会場日付
110.03+1.5桐生 祥秀日本生命社第8回富士北麓ワールドトライアル富士山GXスタジアム(山梨)8/9
210.04+1.5山本 匠真広島大大第8回富士北麓ワールドトライアル富士山GXスタジアム(山梨)8/9
310.06+1.4小池 祐貴住友電工社第70回関西実業団選手権たけびしスタジアム京都5/24
410.07+0.9小室 歩久斗中央大大第110回日本選手権パロマ瑞穂スタジアム(愛知)6/12
510.09+0.7西岡 尚輝筑波大大第110回日本選手権パロマ瑞穂スタジアム(愛知)6/12
610.10+1.4多田 修平住友電工社第70回関西実業団選手権たけびしスタジアム京都5/24
610.10+0.9林 哉太ノジマT&FC社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/15
610.10+0.6鈴木 涼太スズキ社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/15
610.10+0.6守 祐陽渡辺パイプ社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/15
1010.11+0.1愛宕 頼日本建設工業社第110回日本選手権パロマ瑞穂スタジアム(愛知)6/12
1010.11+1.0水久保 漱至宮崎県スポ協社第80回宮崎県選手権山之口陸上競技場(宮崎)7/4
1210.12+0.9デーデー ブルーノセイコー社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/15
1310.13+1.6大石 凌功東洋大大Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/14
1410.14+1.9三輪 颯太小泉社第68回東日本実業団選手権NDソフトスタジアム山形5/16
1410.14+0.2水野 琉之介早稲田大大第110回日本選手権パロマ瑞穂スタジアム(愛知)6/12
1410.14+1.9黒木 海翔中央大大Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/14
1410.14+1.9北原 竜之介関東建設工業社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/14
1810.15+1.4井上 直紀大阪ガス社第70回関西実業団選手権たけびしスタジアム京都5/24
1910.16+1.9菅野 翔唯東京農大二高高第110回日本選手権パロマ瑞穂スタジアム(愛知)6/12
1910.160.0林 拓優HDY ONE社第85回滋賀県選手権平和堂HATOスタジアム(滋賀)7/11
2110.17+1.1本郷 タジュALashi社第110回日本選手権パロマ瑞穂スタジアム(愛知)6/12
2110.17+1.6先本 貴一朗関彰商事社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/14
2110.17+1.6鈴木 碧斗住友電工社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/14
2110.17+1.3木梨 嘉紀エターナルホスピタリティG社Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/14
2110.17+1.9重谷 大樹グリーンクロス社第81回九州選手権山之口陸上競技場(宮崎)8/22
2610.18+1.8飯塚 翔太ミズノ社吉岡隆徳記念第80回出雲陸上浜山公園(島根)4/12
2610.18+2.0山縣 亮太セイコー社第8回富士北麓ワールドトライアル富士山GXスタジアム(山梨)8/9
2810.19+2.0河田 航典愛知陸協社—レモンガススタジアム平塚(神奈川)5/5
2810.19-0.2宮下 峻大東文化大大第8回富士北麓ワールドトライアル富士山GXスタジアム(山梨)8/9
2810.19+1.1伊藤 輝ミクロン精密社第8回富士北麓ワールドトライアル富士山GXスタジアム(山梨)8/9

このランキングの作り方(出典と集計ルール)

順位づけのもとにしたのは、**World Athletics(世界陸連)の2026年アウトドア・トップリスト(日本国籍・1人1記録)**です。各国連盟が公認した記録だけが登録されるデータベースで、風速も1件ずつ記録されています。

そのうえで、TOP30の30人全員について日本国内の主催団体が出した公式リザルトに当たり、氏名の漢字表記・所属・記録・風速を照合しました。使ったのは日本陸連の第110回日本選手権 公式結果、日本グランプリシリーズ各大会の公式リザルトPDF、東日本・関西実業団陸上競技連盟、宮崎・滋賀・山形の各県陸協、九州陸上競技協会の公式リザルトです。もとになったランキングはWorld Athleticsの2026年 男子100m 日本トップリストで確認できます。

集計ルールは次の3点です。

  1. 追い風2.0m/sを超えた記録は含めない(世界陸上競技連盟の競技規則で参考記録扱いとなるため)
  2. 1人につき今季最高記録の1本だけを採用する(同じ選手が複数回並ばないようにするため)
  3. 予選・準決勝・決勝を区別しない(ラウンドに関係なく、公認された最高記録を採る)

なお1件だけ、大会名を空欄にしています(28位・河田航典/5月5日・レモンガススタジアム平塚)。記録・風速・日付はWorld Athleticsの公認トップリストに掲載された公認記録ですが、同日同会場の主催者公式リザルトで本人の行まで確認できなかったため、大会名の確定表記だけを避けました。裏が取れ次第、次回更新で補います。

今季の男子100m、ここが動いたポイント

桐生祥秀が10秒03。今季日本最高は8月の富士北麓

今季のトップに立ったのは桐生祥秀(日本生命)です。8月9日、山梨・富士山GXスタジアムで行われた第8回富士北麓ワールドトライアルの予選2組で、追い風1.5mの条件で10秒03(シーズンベスト)をマークしました。

所属先の日本生命は、この富士北麓での走りの写真とともに、翌週のAthlete Night Games in FUKUIへの出場を公式Xで告知しています。

日本生命@nissay_official

/ がんばれ! #桐生祥秀 選手 \ 明日のAthlete Night Games in FUKUIに、#日本生命 所属の桐生祥秀選手が出場します! 思い入れのある9.98スタジアムで、最高のレースとなりますように👟✨ 桐生選手への熱い応援をよろしくお願いします📣 @KiryuYoshihide #playsupport #陸上 #ANG福井

2026年8月14日Xで投稿を見る →

この大会は桐生にとって相性の良い舞台で、大会記録も桐生が2025年8月3日に出した9秒99です。今季は同じトラックで0秒04届きませんでしたが、6月の日本選手権でも準決勝10秒13・決勝10秒24で3位に入っており、シーズンを通して安定して10秒1台前半をそろえてきました。その日本選手権の決勝後、桐生は自身のXでこう発信しています。

桐生祥秀@KiryuYoshihide

応援ありがとうございました! たくさん「桐生!」と呼んでいただき、皆さんの熱い声援が本当に嬉しかったです。 今年は日本記録を更新できるよう、これからも走り続けます! 皆さんのおかげで、とても楽しい試合になりました。 これからも応援よろしくお願いします!

2026年6月13日Xで投稿を見る →

2位は山本匠真(広島大)の10秒04。桐生と同じ予選2組で、わずか0秒01差の自己新(PB)でした。さらに山本は同じ富士北麓のGP決勝を10秒10で制し、8月15日のAthlete Night Games in FUKUI 2026(日本グランプリシリーズ福井大会。副題はFUKUI 9.98CUP)でも男子100m決勝を10秒05で勝ちました。自己ベストは6日前に出した10秒04で、それに次ぐタイムでの優勝です。夏の日本グランプリシリーズ2大会の男子100mを連勝しています。

3位は小池祐貴(住友電工)の10秒06。5月24日、たけびしスタジアム京都で行われた第70回関西実業団選手権の決勝で出したもので、この時点でシーズン序盤としては抜けた数字でした。

TOP30に大学生7人・高校生1人。2006年生まれが4位と5位

今季の特徴は、TOP30のうち大学生が7人、高校生が1人を占めていることです。しかも4位・5位は小室歩久斗(中央大)の10秒07、西岡尚輝(筑波大)の10秒09と、ともに2006年生まれ。日本選手権では小室が予選で10秒07、西岡が準決勝で10秒09を出しました。

日本選手権の決勝を制したのは多田修平(住友電工)で、記録は10秒17(+0.1)。日本陸連の大会レポートによれば5年ぶりの優勝で、この結果によりアジア大会の日本代表に内定しています。以下、2位が西岡尚輝(10秒20)、3位が桐生祥秀(10秒24)、4位が山本匠真(10秒25)、5位が小室歩久斗、6位が水野琉之介(ともに10秒26)でした。決勝の風は+0.1で、準決勝までのほうが速いタイムが出ています。

19位タイの菅野翔唯(東京農大二高)は2008年生まれ。日本選手権予選で10秒16を出し、TOP30に入った唯一の高校生となりました。中学・高校で伸びている選手がどんな練習をしているのかは、100mが速くなる方法をタイム帯別に整理した記事で詳しく解説しています。

一方で、ベテランも健在です。26位タイに飯塚翔太(ミズノ)の10秒18、山縣亮太(セイコー)の10秒18が並びました。山縣は日本記録9秒95の保持者で、今季は8月の富士北麓で10秒18(+2.0)を記録しています。

「10秒1台」に25人。0秒01差の順位変動が起き続けた夏

TOP30の内訳を記録帯で見ると、10秒0台が5人、10秒1台が25人です。つまり30人中25人が10秒10〜10秒19の0秒09の中に収まっていることになります。

同記録の同順位も多く、10秒10が4人、10秒14が4人、10秒17が5人。夏の1レースで一気に5〜6人抜きが起こる、非常に密集したシーズンでした。

日本代表争いという観点では、愛知・名古屋で行われるアジア大会2026の陸上競技の日程と日本代表の見どころもあわせてチェックしておくと、この夏の順位変動の意味がつかみやすくなります。

記録が出た大会を分解する|10人がANG福井

「ランキングを見ても、どこで出た記録かわからない」——これは既存のランキングページに共通する弱点です。そこでTOP30の30人が、どの大会で今季最高記録を出したのかを集計しました。

大会会場時期TOP30入りした人数
Athlete Night Games in FUKUI 2026福井県営陸上競技場8/14〜1510人
第110回日本選手権パロマ瑞穂スタジアム(愛知)6/12〜146人
第8回富士北麓ワールドトライアル富士山GXスタジアム(山梨)8/95人
第70回関西実業団選手権たけびしスタジアム京都5/243人
第80回宮崎県選手権山之口陸上競技場(宮崎)7/41人
第68回東日本実業団選手権NDソフトスタジアム山形5/161人
第85回滋賀県選手権平和堂HATOスタジアム(滋賀)7/111人
第81回九州選手権山之口陸上競技場(宮崎)8/221人
吉岡隆徳記念第80回出雲陸上浜山公園(島根)4/121人
(大会名未確認)レモンガススタジアム平塚(神奈川)5/51人

もっとも多かったのはAthlete Night Games in FUKUI 2026の10人でした。8月14日の予備予選と15日の決勝ラウンドの2日間で、TOP30の3分の1がこの大会で今季最高を記録した計算になります。この2日間だけで、大石凌功(東洋大)10秒13、黒木海翔(中央大)・北原竜之介(関東建設工業)10秒14、先本貴一朗(関彰商事)・鈴木碧斗(住友電工)・木梨嘉紀(エターナルホスピタリティG)10秒17など、公式リザルト上「PB」表記のついた自己新が続出しました。

次いで多いのが日本選手権の6人、富士北麓ワールドトライアルの5人です。一方で、県選手権・地区選手権からも3人がTOP30入りしているのが今季の面白いところです。宮崎県選手権では水久保漱至(宮崎県スポ協)が大会新かつ県新の10秒11、滋賀県選手権では林拓優(HDY ONE)が大会新の10秒16、九州選手権では重谷大樹(グリーンクロス)が大会新の10秒17を出しています。全国区の大会に出なくても、地元の選手権で日本のトップ30に届く記録は出せるということです。

各地の大会結果はインターハイ・全中・日本選手権の優勝者をまとめた2026年夏の大会結果でも整理しています。

リアクションタイムはレースを決めない

日本グランプリシリーズの公式リザルトには、号砲への反応時間(リアクションタイム)も載っています。ANG福井の決勝では、優勝した山本匠真の0.154秒は出場7人中5番目で、最速だった林哉太の0.125秒より0.029秒遅い反応でした。それでも山本が0.05秒差で先着しており、この密集レースを分けたのはスタートの反応ではなく中盤以降の加速です。なお反応が0.100秒未満だと不正スタートと判定されます(世界陸連競技規則)。

風速+2.0の壁|ランキングに載らなかった「10秒06」がある

ランキングを読むときに、いちばん誤解されやすいのが風速です。

陸上競技の規則では、追い風が毎秒2.0mを超えた記録は「追い風参考記録」となり、日本記録・公認記録として扱われません。ランキングにも載りません。だから「あの選手はもっと速く走ったはずなのに、なぜ順位が低いの?」ということが起こります。

ナイター競技場で風になびく吹き流しと夕暮れの空

今季もっともわかりやすい実例が、8月9日の富士北麓ワールドトライアル・GP男子100mの予選です。この種目は3組で行われ、公式リザルトの風速はこうなっていました(同じ大会では一般種目の100mも別に行われています)。

組風速1位の記録扱い
予選1組+3.2小室歩久斗 10秒06追い風参考(ランキング対象外)
予選2組+1.5桐生祥秀 10秒03公認(今季日本最高)
予選3組+0.9鈴木涼太 10秒20公認

予選1組は追い風3.2m。この組では小室歩久斗が10秒06、大石凌功が10秒08、守祐陽が10秒09、西岡尚輝が10秒14で走っています。数字だけ見れば桐生の10秒03に迫る快走ですが、風が強すぎたため4人ぶんまるごとランキングには反映されません。一方、隣の2組は追い風1.5mで桐生の10秒03が公認となり、今季日本最高として残りました。

同じ日、同じトラック、同じ種目の隣り合った組でも、風ひとつで記録の扱いが変わる。これが100mという種目のシビアなところです。

今季いちばん速かった日本人の走りは、ランキングに載っていない

さらに極端な例があります。桐生祥秀は2026年7月1日、オーストリア・アイゼンシュタットで行われたRaiffeisen Austrian Open Eisenstadtの100mで9秒99をマークしました。World Athleticsのデータベースにも記録として残っています。

ただし風速は**+4.1**。規定の2.0m/sを大きく超えているため「参考記録(notLegal)」として扱われ、日本ランキングにも日本歴代にも入りません。今季の日本人でもっとも速い数字は、実はランキングのどこにも載っていない9秒99なのです。

だからこそ、ランキングを見るときは記録だけでなく必ず風速の列もセットで読む必要があります。この記事の表に風速をすべて入れているのは、そのためです。

なお、記録が公認されるにはもうひとつ条件があります。電気計時(写真判定)で計測されていることです。手動計時の記録は日本記録やこのランキングの対象になりません。中学・高校の記録会では手動計時のこともあるので、自己ベストを比べるときは注意が必要です。

日本歴代10傑と日本記録|9秒台は4人、世界とは0秒24差

シーズンランキングと並べて見ておきたいのが、歴代の記録です。日本陸連が公表している日本記録一覧によると、男子100mの日本記録は9秒95・山縣亮太(セイコー)。2021年6月6日、鳥取での布勢スプリントで出したものです(2026年8月27日現在)。

World Athleticsの日本人オールタイムリストの上位13人(12位タイまで)は次のとおりです。

順位記録風速選手名場所年月日
19.95+2.0山縣 亮太鳥取2021.6.6
29.96+0.5サニブラウン アブデル ハキームパリ(フランス)2024.8.4
39.98+1.8桐生 祥秀福井2017.9.9
39.98+0.5小池 祐貴ロンドン(イギリス)2019.7.20
510.00+1.9伊東 浩司バンコク(タイ)1998.12.13
510.00+1.7清水 空跳広島広域2025.7.26
510.00+1.3守 祐陽富士北麓2025.8.3
510.00+0.3栁田 大輝福井2025.8.16
910.01+2.0多田 修平鳥取2021.6.6
1010.02+2.0朝原 宣治オスロ(ノルウェー)2001.7.13
1010.02+1.1坂井 隆一郎鳥取2022.6.26
1210.03+1.8末續 慎吾水戸2003.5.5
1210.03+1.0ケンブリッジ 飛鳥福井2020.8.29

日本人で10秒を切ったのは、山縣亮太・サニブラウン アブデル ハキーム・桐生祥秀・小池祐貴の4人です。日本人初の9秒台は2017年9月9日、福井での桐生祥秀の9秒98でした。

もうひとつ目を引くのが、10秒00の同記録が4人並んでいること。1998年の伊東浩司に、2025年だけで清水空跳・守祐陽・栁田大輝の3人が並びました。「10秒00の壁」に日本のスプリント界がまとめて到達したのが2025年だった、と言い換えることもできます。

歴代上位と今季ランキングの「ずれ」を読む

歴代10傑と今季TOP30を見比べると、面白いずれが見えてきます。

  • 清水空跳(星稜高):歴代5位タイの10秒00を持ちながら、今季のベストは7月5日・布勢スプリント2026での10秒28。World Athleticsの2026年日本トップリストでは53位です
  • 栁田大輝(Honda):同じく歴代5位タイの10秒00保持者。今季は8月9日の富士北麓で10秒25(+2.0)を出しており、TOP30圏外の40位タイ
  • 守祐陽(渡辺パイプ):歴代5位タイの10秒00保持者で、今季も8月15日のANG福井で10秒10を出し6位タイに入っています

つまり、歴代上位=今季も上位、とは限らないということです。100mは1シーズンのコンディションで0秒2ほど簡単に動きます。シーズンランキングは「今どこにいるか」、歴代ランキングは「どこまで行ったことがあるか」。この2つは分けて読むのが正解です。

なお、10秒03は桐生の今季ベストであると同時に、末續慎吾(2003年)とケンブリッジ飛鳥(2020年)が持つ歴代12位タイの記録と同じ数字でもあります。20年前ならほぼ歴代トップクラスだったタイムが、今季は日本1位。日本の短距離全体の水準がどれだけ上がったかがわかります。

世界の2026年ランキングと比べると

World Athleticsの2026年トップリスト(全世界)では、男子100mの今季世界最高は9秒79。ノア・ライルズ(アメリカ)が7月24日、ニューヨークで出した記録です。2位はオブリク・セビル(ジャマイカ)の9秒82、3位はエマニュエル・エセメ(カメルーン)の9秒83と続きます。世界記録は2009年8月16日のウサイン・ボルト(ジャマイカ)の9秒58です。

今季の日本最高10秒03と世界最高9秒79の差は0秒24。日本記録9秒95で見れば0秒16差です。100mという種目で0秒2は決して小さくありませんが、日本のトップが世界の決勝ラインに手が届く距離にいることは、この数字からも読み取れます。

そのうえで、9月には愛知・名古屋でアジア大会2026が行われます。日本選手権を制した多田修平はすでに代表に内定しています。

高校・U20の記録と、今季の10代

日本陸連が公表しているU20(20歳未満)とU18(18歳未満)の男子100m日本記録は、**どちらも10秒00・清水空跳(星稜高)**です。2025年7月26日、広島広域で行われたインターハイでの記録です(2026年8月27日現在)。高校生が日本歴代5位タイに入っているという、世界的に見ても例の少ない状況が続いています。

今季のTOP30で10代なのは、2008年生まれの菅野翔唯(東京農大二高)ただ1人です。10秒16は日本選手権の予選で出したもので、19位タイに入りました。

その1つ上の世代も厚みがあります。2006年生まれの小室歩久斗(中央大)が10秒07で4位、西岡尚輝(筑波大)が10秒09で5位。2005年生まれでは黒木海翔(中央大)と水野琉之介(早稲田大)が10秒14、宮下峻(大東文化大)が10秒19。TOP30の30人のうち6人が2005〜2008年生まれ(小室・西岡・水野・黒木・宮下・菅野)。2003年生まれまで広げると13人で、TOP30の4割超が23歳以下という構成です。

高校生・大学生年代の国際舞台での戦いぶりは、U20世界陸上2026の日本代表の全成績まとめでも取り上げています。

ちなみにWorld Athleticsの2026年 女子100m 日本トップリストを同じ基準で集計すると、女子のTOP30には高校生が5人入っています。男子の1人に対して女子は5人。2026年シーズンに限れば、高校生年代がトップ30に届いているのは女子のほうが多い、という差がついています。

100mのタイムを縮めるうえで、10代のうちに固めておきたいのがスタート局面です。ブロックの押し方や1歩目の作り方は短距離のスタートダッシュのコツを構え方から解説した記事にまとめました。また、記録が出る条件を整えるという意味では陸上スパイクの選び方と競技規則のポイントもあわせて読んでおくと役立ちます。

よくある質問

9秒台にいちばん近い日本人は誰ですか?

歴代でいえば、10秒00の同記録を持つ伊東浩司・清水空跳・守祐陽・栁田大輝の4人が「あと0秒01」の位置にいます。今季の状態で見ると、10秒03の桐生祥秀(すでに9秒98の自己ベストを持つ)と、今季自己新の10秒04を出した山本匠真が現実的なラインです。ただし9秒台には風・気温・トラックの条件がそろう必要があり、記録は狙って出せるものではありません。

追い風参考記録は自己ベストとして扱われますか?

公認記録としては扱われません。日本記録・ランキング・大会記録のいずれの対象にもならず、World Athleticsのデータベースでも「notLegal(非公認)」の扱いです。ただし選手本人やチームが「参考記録として9秒台を出した」と紹介することはあり、実力を測る材料にはなります。競技会のエントリーで使う資格記録にも通常は使えません。

風速はどうやって測っているのですか?

競技規則では、第1レーンのフィニッシュラインの手前50m、トラックから2m以内、高さ1.22mの位置に風向風速計を設置し、100mではスタートの号砲から10秒間の平均値を測ることになっています。だから「レース中ずっと追い風3.2mだった」という意味ではなく、10秒間をならした値です。同じ日でも組が変われば数値は変わり、それが今季の富士北麓のように記録の扱いを分けます。

県選手権の記録でも日本ランキングに載るのですか?

載ります。日本陸連の公認競技会で、公認トラック・電気計時・追い風2.0m/s以内という条件を満たしていれば、大会の規模は問われません。今季も宮崎・滋賀・九州の各選手権から3人がTOP30に入っています(内訳は本文の大会分解を参照)。

100分の1秒まで同じとき、着順はどう決めるのですか?

ランキング上は同記録同順位として扱いますが、同じレース内の着順は写真判定で1000分の1秒まで見て決めます。第110回日本選手権決勝では、ともに10秒26の小室歩久斗と水野琉之介が公式速報システムの表示で10秒254と10秒256に分かれ、5位と6位になりました。別レースで出た同記録は順位を分けません。

このランキングはいつ更新されますか?

更新時期は編集部が判断します。この版の集計基準日は2026年9月6日で、次回の更新時期は未定です(更新時に集計基準日を記事冒頭に記載します)。同じURLを更新していくので、ブックマークしておけば最新の順位が確認できます。9月は日本インカレ、全日本実業団、アジア大会と主要大会が続くため、順位は大きく動く見込みです。

まとめ

2026年の男子100m日本ランキングを振り返ると、ポイントは次の5つです。

  • 今季日本最高は桐生祥秀(日本生命)の10秒03(8月9日・富士北麓ワールドトライアル、+1.5)
  • TOP30は10秒03〜10秒19の0秒16に30人が密集する大混戦
  • TOP30の10人がANG福井、6人が日本選手権でこの大会での今季最高を記録
  • TOP30には大学生7人・高校生1人が入り、4位・5位は2006年生まれ
  • 追い風2.0m/s超は参考記録。富士北麓の予選1組(+3.2)の10秒06はランキングに載らない

9月は日本インカレ(9月5〜7日)、全日本実業団(9月11〜13日)、そしてアジア大会と主要大会が続きます。このランキングは同じURLで更新していきますので、順位の動きを追いかけてみてください。

自分のタイムがどのくらいの位置にあるのか気になったら、まずは記録を残すところからです。陸上練習ノートアプリ「TRACK HUB」なら、レースごとの記録と風速、練習メニューをまとめて残せます。シーズンを通してタイムの推移をグラフで見返せるので、「どの時期にどんな練習をしたら記録が伸びたか」が自分のデータとして積み上がっていきます。トップ選手のランキングを眺めるだけでなく、自分の1年ぶんのランキングも作ってみてください。