2026年シーズンの女子400m日本ランキング、1位は松本奈菜子(東邦銀行)の52秒24です。5月10日の第13回木南道孝記念(ヤンマースタジアム長居)で出した記録で、丹野麻美が2008年に出した日本記録51秒75とは0秒49差。この記事では、World Athleticsの日本トップリストを国内主催団体の公式リザルトと1行ずつ突き合わせて作った女子400m 日本ランキングTOP30を、所属・大会名・日付・ラウンドまで付けて公開します。集計基準日は2026年9月20日です。

この記事でわかること

  • 2026年 女子400m 日本ランキングTOP30(全30行に大会名・日付・ラウンドつき)
  • 日本記録51秒75との距離と、日本歴代リストの顔ぶれ
  • 愛知・名古屋2026アジア競技大会の派遣設定記録51秒97が、女子400mではどれだけ重い数字か
  • この表に入っていない高校生の記録がある——「日本ランキング」に2つの定義がある話

陸上競技場の曲走路に置かれたスターティングブロック

女子400m 2026年 日本ランキングTOP30【2026年9月20日時点】

集計のルールと出典

順位づけの基盤は、World Athleticsが公開している2026年・日本国籍・屋外・1人1記録のトップリストです。その全行を、日本陸連の日本選手権ライブ結果、日本学生陸上競技連合、各大会主催者の公式リザルトと照合しました。公式資料で確認できなかった項目がある行は、その旨を本文で明示しています。同記録が並んだ場合は同順位とし、次の順位を空けています。

表の「ラウンド」は、その記録が予選・準決勝・決勝のどこで生まれたかを示す列で、今季の女子400m日本ランキングでこの列を持つ一覧は編集部が調べた限りほかにありません。World Athleticsのリストには 2f3 1sf1 のような「順位+ラウンド+組」の記号しか付いておらず、f は決勝とはかぎりません。タイムレース決勝の組や、全国高校総体のように決勝を3組に分けて通算タイムで順位を決める方式も同じ記号になります。そのため30行すべてを主催者のリザルトで読み直しました。

本シリーズでは1位の選手が写った写真つきの公式・本人投稿を1件引用する運用にしています。今回は、1位・松本奈菜子の本人アカウント(日本陸連の選手プロフィールに記載)と所属先の東邦銀行陸上競技部を先に当たりましたが2026年シーズンの写真つき投稿は特定できず、日本陸連公式(@jaaf_official)が2025年アジア選手権の優勝直後に投稿したものを「1位・松本奈菜子」の節に掲載しています(2026年9月20日時点)。

順位記録選手所属区分大会(会場)ラウンド日付
152.24松本 奈菜子東邦銀行実業団第13回木南道孝記念(ヤンマースタジアム長居)決勝3組1着・総合1位・大会新5/10
253.15岩田 優奈スズキ実業団第8回富士北麓ワールドトライアル2026(山梨県富士北麓公園陸上競技場)1組2着・総合2位・自己新8/9
353.17森山 静穂いちご実業団第69回九州実業団選手権(黒崎播磨陸上競技場inHONJO)決勝1位5/24
453.23寺本 葵アットホーム実業団第13回木南道孝記念決勝3組3着・総合3位5/10
553.26中尾 柚希園田学園大大学第110回日本選手権(パロマ瑞穂スタジアム)予選1組2着6/12
653.60青木 アリエ日本体育大大学第41回静岡国際(エコパスタジアム)決勝3組2着・総合2位5/3
753.64児島 柚月立命館大大学第110回日本選手権予選3組1着6/12
853.80齋藤 朱里立命館大大学第110回日本選手権予選3組3着6/12
953.90熊谷 遥未青森競技力本部その他第110回日本選手権予選1組3着6/12
1054.11伊藤 真優立命館大大学第110回日本選手権予選3組4着6/12
1154.35稲岡 真由KAGOTANIクラブ2026年度第1回学連競技会(ユニバー記念競技場)タイムレース1組1着・総合1位8/8
1254.39梅原 紗月住友電工実業団第8回富士北麓ワールドトライアル20262組1着・総合4位8/9
1354.40佐藤 志保里順天堂大大学第95回日本インカレ(日産スタジアム)決勝2位9/6
1454.44鎌倉 梨々華佐久長聖高高校第110回日本選手権予選1組4着6/12
1554.57栃尾 陽菜ダイシンプラント実業団第13回木南道孝記念決勝3組7着・総合7位5/10
1654.59宮澤 希佐久長聖高高校第65回北信越高校陸上(石川県西部緑地公園陸上競技場)決勝1位6/19
1754.64幸長 愛美姫路女学院高高校全国高校陸上 近畿地区予選会(平和堂HATOスタジアム)決勝1位6/18
1854.67江原 美月優福岡大大学第110回日本選手権予選1組5着6/12
1954.72天野 華恋静岡市立高高校第73回東海高校総体(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)決勝2位6/19
2054.76岡田 麻鈴新潟医療福祉大大学第91回岐阜県選手権(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)決勝1位・大会新7/5
2154.78米山 こころ新潟明訓高高校第79回全国高校総体(平和堂HATOスタジアム)決勝3組2着・総合2位7/31
2254.79好井 愛結園田学園大大学第110回日本選手権予選1組6着6/12
2354.84加藤 涼音愛知淑徳大大学第95回日本インカレ準決勝1組1着9/5
2354.84山本 真菜早稲田大大学第95回日本インカレ準決勝3組3着9/5
2554.85勝 くるみ筑波大大学第105回関東インカレ(カンセキスタジアムとちぎ)女子1部決勝2着・自己新5/22
2654.89福井 彩乃立命館大大学第41回静岡国際決勝1組3着5/3
2754.95小林 恵里花鈴鹿大大学第92回東海インカレ(パロマ瑞穂スタジアム)決勝1位・大会新5/8
2854.96吉野 綾香大阪成蹊大大学第103回関西インカレ(ヤンマースタジアム長居)準決勝2組2着5/14
2955.04長町 碧泉福岡大大学令和8年度 福大競技会(福岡大学陸上競技場)決勝1位7/18
3055.05久世 小春済美高高校第73回東海高校総体決勝3位6/19

「大会新」「自己新」は、各大会の公式リザルトにNGR・MR・GR・PBなどの記号が印字されている行だけに付けています。3位・森山静穂の53秒17には福岡陸上競技協会の速報に注記がありますが、種別まで判読できなかったため空欄にしました。

54秒84が2人で23位タイのため次は25位になり、ここでちょうど30人。31位は55秒17が2人で、30人目とは0秒12差です。記録の分布は52秒台が1人、53秒台が8人、54秒台が19人、55秒台が2人。1位の52秒24と2位の53秒15の差は0秒91あり、1位と30人目の差は2秒81です。本サイトの男子400m日本ランキング2026では1位と2位が0秒36差、1位と30人目が1秒65差でしたから、女子400mはトップが1人だけ抜けているシーズンだったことになります。

この表に入っていない記録がある——「日本ランキング」の2つの定義

日本陸連が公開している2026 全国高等学校リモート陸上競技大会の女子400mランキング1位は、バログン ハル(市川高3年・千葉)の53秒51です。競技日は6月12日で、同じ日に行われた高校総体・南関東大会の女子400m決勝の公式リザルト(茨城陸上競技協会)にも、優勝記録53秒51が印字されています。この53秒51は上の表に入れれば6位相当。それなのに表にないのは、順位づけの基盤にしたWorld Athleticsの日本トップリスト(100位まで・9月20日取得)に、この記録が1行も存在しないからです。

しかも彼女は、7月31日の全国高校総体の女子400mも制しています(記録は後述)。同じレースの2位・米山こころの54秒78と、4位タイ・金子璃音の55秒27は、どちらもWorld Athleticsの日本リストにこの大会の記録として載っており、大会がまるごと収載の対象外というわけではありません。アジアリストと世界リストにも彼女の記録はなく、理由は公表資料から確認できないので断定はしません。

一方、全国高校リモート陸上のランキング2位・陳羿岑(中京大中京高1年・愛知/53秒98)が日本リストにいない理由は、公表資料ではっきりします。World Athleticsの2026年アジアリストに、彼女はチャイニーズタイペイ(TPE)の登録で載っているからです。5月29日に香港で出した53秒16でアジア27位。日本国籍で絞ったリストに入らないのは、そのためです。

大会ごとの収載にもムラがあります。北信越高校陸上・近畿地区予選会・東海高校総体の記録は日本リストにあり、上の表の16位・17位・19位・30位がそれです。ところが南関東大会は入っていません。同大会の女子400m決勝2位・金子璃音(八千代高2年・千葉)の54秒97はリストになく、彼女の今季記録は全国高校総体の55秒27。14位・鎌倉梨々華が5月29日に出した54秒37(高校リモートランキング3位)も同様で、表には日本選手権の54秒44で入っています。抜けは「地区大会だから」という線引きでは説明がつきません。

つまり「日本ランキング」には、国籍を基準にした国際連盟のリストと、登録先を基準にした国内の集計という2つの定義があり、収載される大会の範囲も一致していません。本記事は前者を基盤にしたうえで、後者の上位8人も「高校生の今季トップ」の節に載せています。

1位・松本奈菜子52秒24——木南記念の大会新と、4度目の日本一

松本奈菜子は1996年9月3日生まれ、静岡県の出身です。日本陸連の選手プロフィールによると、清水第四中(静岡)から浜松市立高(静岡)、筑波大を経て東邦銀行に進みました。所属先の東邦銀行陸上競技部の公式プロフィールには、自己ベスト52秒14が「日本歴代2位」と明記されています。

今季の52秒24は、5月10日の第13回木南道孝記念(日本グランプリシリーズ大阪大会・ヤンマースタジアム長居)で出たものです。公式リザルトには大会新記録の記号が付いており、2位のモーガン・ミッチェル(オーストラリア)の52秒27も従来の大会記録52秒58を上回ったなかでの、0秒03差の勝利でした。自己ベストの52秒14には0秒10届いていません。

6月12〜14日の第110回日本選手権(愛知・パロマ瑞穂スタジアム)では、予選52秒42・決勝52秒94で優勝。日本陸連の公式ライブ結果で確認できます。松本の日本選手権女子400m制覇は2014年・2022年・2024年に続く4度目で、初優勝は浜松市立高3年だった2014年(54秒00)でした。8月9日の第8回富士北麓ワールドトライアル2026(日本グランプリシリーズ山梨大会・山梨県富士北麓公園陸上競技場)でも52秒28で勝ち、公式リザルトの新・タイ記録一覧表に大会記録として記載されました。今季、52秒台で走った日本人は松本ただ1人。しかも52秒24・52秒42・52秒94・52秒28と、5月から8月にかけて4本そろえています。

代表歴も厚く、日本陸連のプロフィールでは世界選手権が2019年ドーハ・2022年オレゴン・2025年東京の3回、アジア競技大会は2014年仁川と今回の名古屋。所属先のページには2025年アジア選手権400m優勝も記載されています。そのアジア選手権決勝の直後、日本陸連の公式アカウントが投稿したのがこの1枚です。

日本陸上競技連盟@jaaf_official

// 【#アジア選手権】 チームカメラ📸🇯🇵 \\ ◆女子400m決勝#松本奈菜子(東邦銀行)金メダル🥇 ラストスパートで逆転‼️ おめでとうございます👏👏 応援ありがとうございました🙋‍♂️🙋‍♀️ 📺ライブ配信はこちら 📪応援メッセージ募集中‼ #陸上…

2025年5月28日Xで投稿を見る →

日本選手権の決勝は、日本陸連の公式YouTubeチャンネルで公開されています。

【第110回日本選手権】女子 400m 決勝

2位〜5位の今季

2位・岩田優奈(スズキ/53秒15) は8月9日の富士北麓で1組2着に入り、所属先スズキアスリートクラブの公式プロフィールにも自己ベストとして載る53秒15をマーク。日本陸連の過去の優勝者一覧では、2017年(第101回)の日本選手権女子400m優勝者が中央大在学中の岩田です。今季の日本選手権は4位でした。

3位・森山静穂(いちご/53秒17) は5月24日の第69回九州実業団選手権でこの記録を出し、日本選手権では予選2組1着から決勝2位。後述のとおり、決勝で予選タイムを上回った唯一の選手でした。

4位・寺本葵(アットホーム/53秒23) は、天理大4年だった2025年の第109回日本選手権を53秒14で制した前年女王。今季は木南記念3位で53秒23としましたが、日本選手権の決勝は54秒91の7位でした。

5位・中尾柚希(園田学園大4年/53秒26) は日本選手権の予選1組2着でこの記録を出し、決勝は3位。9月6日の日本インカレ女子400mを53秒80で制し、学生の日本一になっています。

森山・寺本・中尾の3人は、いずれもアジア大会のリレー要員として日本代表に入っています。

記録はどこで生まれたか——日本選手権は「予選のほうが速い」

TOP30の30本は、16の大会から生まれています。

大会日付TOP30入り
第110回日本選手権6/128本(すべて予選)
第13回木南道孝記念5/103本
第95回日本インカレ9/5〜63本
第8回富士北麓ワールドトライアル20268/92本
第41回静岡国際5/32本
第73回東海高校総体(東海地区予選会)6/192本
各1本ずつの10大会5〜8月10本

各1本の10大会は、東海インカレ・関西インカレ・関東インカレ・九州実業団選手権・近畿地区予選会・北信越高校陸上・岐阜県選手権・福大競技会・全国高校総体・学連競技会(日付はTOP30表のとおり)です。

最多は日本選手権の8本ですが、その8本はすべて6月12日の予選で、翌13日の決勝から入った記録は1本もありません。優勝タイムの52秒94は今季リストなら2位相当ですが、松本自身がすでに5月10日に52秒24を出していたため、1人1記録のTOP30には反映されません。

月別に見ると、シーズンの形はもっとはっきりします。

月5月6月7月8月9月
TOP30入り9本12本3本3本3本

5月と6月の2か月で21本(70%)。日本選手権と各地区の対校戦がこの時期に集まる日本の競技日程が、そのまま記録の分布になっています。裏を返せば、7月以降に自己ベストを更新する機会は多くありません。

決勝で予選を上回ったのは、8人のうち1人だけ

第110回日本選手権の女子400mは、6月12日16時25分に予選3組(各組2着+タイム上位2)、翌13日17時40分に決勝という日程でした。決勝の8人について、日本陸連の公式ライブ結果に記録されている1000分の1秒で予選と決勝を並べると、はっきりした傾向が出ます。

順位選手予選決勝差
1松本 奈菜子52.42052.934+0.514
2森山 静穂53.80353.413−0.390
3中尾 柚希53.25953.572+0.313
4岩田 優奈53.65353.800+0.147
5児島 柚月53.63353.979+0.346
6齋藤 朱里53.79554.739+0.944
7寺本 葵54.30754.902+0.595
8熊谷 遥未53.89355.068+1.175

決勝で予選を上回ったのは森山静穂だけで、0秒390の短縮とともに2位まで順位を上げました。残る7人は全員が予選より遅く、平均で0秒576。最大は熊谷遥未の1秒175です。予選と決勝が別の日に組まれた日程でも、これだけ削られるのが400mという種目です。

決勝8人のリアクションタイム

日本陸連のライブ結果には、決勝8人のリアクションタイム(号砲からスターティングブロックを離れるまでの時間)も残っています。

TRACK HUB RESULTS

第110回日本陸上競技選手権大会 女子400m 決勝

2026-06-13 パロマ瑞穂スタジアム(愛知)

女子400m 決勝(6月13日 17:40)

順位選手所属記録備考
1松本 奈菜子東邦銀行52.94RT 0.231
2森山 静穂いちご53.42RT 0.190
3中尾 柚希園田学園大53.58RT 0.177
4岩田 優奈スズキ53.80RT 0.172
5児島 柚月立命館大53.98RT 0.216
6齋藤 朱里立命館大54.74RT 0.211
7寺本 葵アットホーム54.91RT 0.207
8熊谷 遥未青森競技力本部55.07RT 0.211

最も速く反応したのは岩田優奈の0秒172で、結果は4位。最も遅かったのは優勝した松本の0秒231でした。8人の幅は0秒059しかなく、この差がそのまま着順になっていないのが400mです。スタートの技術そのものについてはスタートダッシュのコツで詳しく扱っています。なお決勝進出の最後の1枠は熊谷遥未の53秒893で、次点は伊藤真優(立命館大)の54秒101。0秒208差で決勝を逃しています。

優勝記録52秒94は、この17大会で3番目に速い

日本陸連の「過去の優勝者・記録」ページで2010年以降の女子400m優勝記録を並べると、52秒94という数字の位置がわかります。

年(回)優勝記録選手(当時の所属)
2013(97)52.52杉浦 はる香(浜松市立高)
2021(105)52.86小林 茉由(J.VIC)
2026(110)52.94松本 奈菜子(東邦銀行)
2022(106)53.03松本 奈菜子(東邦銀行)
2016(100)53.04青山 聖佳(大阪成蹊大)
2015(99)53.05青木 沙弥佳(東邦銀行)

※2010〜2026年の17大会のうち上位6大会を抜粋。残る11大会は53秒14〜54秒46で、そのうち2025年(109回)は寺本葵の53秒14、2024年(108回)は松本自身の53秒46です。

2010年以降で52秒台の優勝記録は3回しかなく、そのひとつが今年です。

明るい昼間の陸上競技場のバックストレート

日本記録・歴代リストとカテゴリー別記録

日本記録は51秒75、18年間動いていない

日本陸連の日本記録ページ(2026年9月14日現在)によると、女子400mの日本記録は丹野麻美(ナチュリル)の51秒75。2008年5月3日、静岡国際(エコパスタジアム)での記録です。今季の日本人最高52秒24との差は0秒49あります。丹野は日本陸連の記録コラムでは千葉(旧姓・丹野)麻美と表記されており、2015年に日本記録3分28秒91を出した女子4×400mRのメンバーにも千葉麻美として名を連ねています。

区分記録選手(当時の所属)日付・大会
日本記録51.75丹野 麻美(ナチュリル)2008年5月3日・静岡国際
U20日本記録52.52杉浦 はる香(浜松市立高)2013年6月8日・日本選手権
U18日本記録53.31髙島 咲季(相洋高)2019年5月3日・静岡国際

※杉浦の所属は、日本陸連の記録ページでは「浜松市高」、日本選手権の過去の優勝者一覧では「浜松市立高」と表記されています。本記事は後者に統一しました。

参考までに世界記録は1985年にM・コッホ(東ドイツ)が出した47秒60(日本インカレ公式記録集に掲載)で、日本記録との差は4秒15です。

なお、この51秒75より速い数字が公式資料に印字されています。日本インカレや東海インカレの公式リザルトの女子400mの欄にある日本学生記録(UR)51秒71です。印字は「フロレス アリエ(日本体育大)2025」で、World Athleticsの選手ページでは同じ2025年5月3日・静岡国際(エコパスタジアム)の51秒71が、本記事のTOP30で6位に入っている**Arie AOKI(青木アリエ/日本体育大)**の記録として載っており、記録欄には「NR」の表示も付いています。ただし日本陸連の日本記録ページが女子400mの日本記録として掲げているのは51秒75で、World Athleticsの日本歴代トップリストにも51秒71は入っていません。日本記録と日本学生記録は別の区分であり、本記事は日本陸連の記録ページとWorld Athleticsのリストを基準にしています。それ以上の事情は公表資料から確認できないので、ここでも断定はしません。

World Athleticsの日本歴代トップリスト(屋外・1人1記録)で51秒台〜52秒台に並ぶのは6人です。

歴代記録選手日付
151.75丹野 麻美2008年5月3日
252.14松本 奈菜子2025年5月3日
352.38青山 聖佳2020年7月23日
452.52杉浦 はる香2013年6月8日
552.86小林 茉由2021年6月25日
652.95柿沼 和恵2001年5月24日

歴代2位の松本と歴代4位の杉浦は、どちらも浜松市立高の出身です。杉浦の52秒52は今もU20日本記録で、2013年の日本選手権でのもの。翌2014年の日本選手権を高校3年の松本が勝っています。

高校生の今季トップ

日本陸連の2026 全国高等学校リモート陸上競技大会は、インターハイの都道府県大会56大会と地区大会11大会、計67大会のリザルトを集計してランキングを作っています。女子400mの上位8人は次のとおりです。

順位記録選手学校(学年・都道府県)競技日
153.51バログン ハル市川(3年・千葉)6月12日
253.98陳 羿岑中京大中京高(1年・愛知)6月19日
354.37鎌倉 梨々華佐久長聖(3年・長野)5月29日
454.59宮澤 希佐久長聖(3年・長野)6月19日
554.64幸長 愛美姫路女学院(3年・兵庫)6月18日
654.72天野 華恋静岡市立高(2年・静岡)6月19日
754.97金子 璃音八千代(2年・千葉)6月12日
855.05久世 小春済美高(2年・岐阜)6月19日

このうち鎌倉・宮澤・幸長・天野・久世の5人は、本記事のTOP30にも入っています(鎌倉は日本選手権で出した54秒44での掲載)。米山こころを加えて、TOP30に入った高校生は6人。男子400mのTOP30に高校生が1人もいなかったのと比べると、女子400mは高校世代の層が厚いことがわかります。

全国の頂点を決めたのは、7月31日の秩父宮賜杯 第79回全国高校総体(平和堂HATOスタジアム)です。女子400mは7月30日の予選8組(各組2着+タイム上位8)から決勝3組へ進み、3組の通算タイム順で順位が決まる方式でした。

TRACK HUB RESULTS

秩父宮賜杯 第79回全国高等学校陸上競技対校選手権大会(インターハイ) 女子400m 決勝

2026-07-31 平和堂HATOスタジアム(滋賀)

女子400m 決勝(3組・通算タイム順/7月31日 19:00)

順位選手所属記録備考
1バログン ハル(3)市川(千葉)53.74
2米山 こころ(1)新潟明訓(新潟)54.78
3天野 華恋(2)静岡市立(静岡)54.96
4金子 璃音(2)八千代(千葉)55.27着差なし
4CHEN Yicen(1)中京大中京(愛知)55.27着差なし
6鎌倉 梨々華(3)佐久長聖(長野)55.41
7河村 捺希(3)広島皆実(広島)55.51
8宮澤 希(3)佐久長聖(長野)55.65決勝2組1着

バログン ハルが53秒74で2連覇。大会記録は本人が2025年に出した53秒07で、今大会では更新されていません。入賞(8位)のラインは、決勝3組ではなく2組を1着で走った宮澤希の55秒65でした。東海地区予選会の公式リザルトに印字されている日本高校記録は52秒52——前掲のU20日本記録と同じ数字で、13年間、高校生の日本最高は動いていません。

アジア大会2026 女子400m——代表は1人、リレー要員が3人

派遣設定記録51秒97は、日本記録の0秒22落ち

日本陸連が公開した「トラック&フィールド 日本代表選手内定&選考」の資料によると、愛知・名古屋2026アジア競技大会の女子400mの派遣設定記録は51秒97です。これがどれだけ重い数字かは、男子と並べるとすぐにわかります。

日本記録派遣設定記録差
男子400m44.4445.551.11
女子400m51.7551.970.22

男子は日本記録より1秒11ゆるい設定ですが、女子は0秒22しか猶予がありません。日本記録級の走りをしないと自動的には届かない設定です。実際、2026年に51秒97を破った日本人はおらず、最も近い松本の52秒24でも0秒27足りません。

選考の4条件と、当てはまらない3つ

同じ資料には、代表になる道が4つ示されています。

区分条件
内定1東京2025世界陸上で8位入賞かつ日本人最上位。資料に挙がっているのは中島佑気ジョセフ・村竹ラシッド・三浦龍司・赤松諒一・廣中璃梨佳の5人
内定2日本選手権優勝かつ、参考競技会で派遣設定記録を突破
選考3日本選手権終了までに参考競技会で派遣設定記録を突破している記録上位者
選考4メダルまたは入賞が期待され、強化委員会が推薦する競技者

松本は内定1の5人に含まれず、日本選手権は優勝しましたが51秒97は破っていないため内定2にも選考3にも当たりません。日本陸連は個々の選出理由を公表していないので断定は避けますが、公表されている条件のうち内定1・内定2・選考3の3つは満たしていない、というところまでは資料から読み取れます。

日本代表の内定は2026年6月15日に発表されました。同日に日本陸連の公式アカウントが公開した内定選手一覧でも、女子400mは松本1人、4×400mRと混合4×400mRの要員が森山静穂(いちご)・中尾柚希(園田学園大)・寺本葵(アットホーム)の3人です。今季ランキングの1位・3位・4位・5位が代表に入っている計算です。一方、ランキング2位の岩田優奈(スズキ)は代表ではありません。53秒15を出したのは8月9日の富士北麓で、代表発表の約2か月後でした。

アジアの壁と、当日の時間

World Athleticsの2026年アジアリスト(屋外・1人1記録)で、松本の52秒24はアジア9位です。上位には49秒27のS・E・ナセル(バーレーン)、50秒28のK・アデコヤ(バーレーン)、51秒19のJ・フクモワ(ウズベキスタン)らが並びます。日本人の2番手は岩田の53秒15でアジア26位。2026年の世界リストは100位が51秒32で、日本勢は世界100傑に1人も入っていません。

日本陸連が9月18日に公開した記録コラム(国際陸上競技統計者協会会員・野口純正氏による連載)によると、アジア競技大会の女子400mが実施されたのは1966年から。大会記録は2018年ジャカルタ大会でナセルが出した50秒09で、アジア記録も同じナセルが2019年に出した48秒14です。日本勢のメダルは金1・銀4・銅4。金は1982年ニューデリー大会の磯崎公美(当時・神奈川の山北高3年)ただ1人で、このとき磯崎は200mと2つのリレーも制して4冠になっています。金を獲れば44年ぶり。日本人の最後のメダルは2010年広州大会の千葉(旧姓・丹野)麻美の銀——日本記録51秒75を持つ、あの丹野麻美です。同コラムは松本の自己ベスト52秒14を出場者の直近2年のベストで1国2名換算の8位と位置づけ、バーレーンの2人が本命、銅メダルは51秒台のウズベキスタン・インド・イランと52秒台前半のフィリピンに松本を加えた争いと見ています。

競技日程(日本陸連の競技日程ページ・2026年8月28日現在/日本時間)はこうなっています。会場は名古屋市瑞穂公園陸上競技場——6月に日本選手権が行われたパロマ瑞穂スタジアムと同じ競技場です。

種目ラウンド日付開始時刻
混合4×400mR予選9月24日10:20
混合4×400mR決勝9月24日22:15
女子400m予選9月25日21:15
女子400m決勝9月26日21:45
女子4×400mR決勝9月29日21:05

女子4×400mRも見どころです。日本陸連の記録ページによると日本記録は2015年の世界選手権北京で出た3分28秒91で、11年間更新されていません。前出の記録コラムは、松本+リレー要員3人の400mベストの単純合計が3分31秒65で、2走以降は加速がつくぶん短縮できるため日本記録も狙える水準だと書いています。日本のこの種目のメダルは金3・銀2、最後は2014年仁川大会の銀です。

大会全体の日程や日本代表の見どころはアジア大会2026陸上の日程×日本代表ガイドにまとめています。

TOP30の顔ぶれ——立命館大4人、高校生6人

区分人数
大学16
実業団6
高校6
クラブ1
その他1

大学別では立命館大が4人で最多です。児島柚月7位・齋藤朱里8位・伊藤真優10位・福井彩乃26位の4人で、9月7日の日本インカレ女子4×400mRもこの大学が3分36秒78で制しています。園田学園大と福岡大が2人ずつ続き、高校は佐久長聖が2人(鎌倉梨々華14位・宮澤希16位)です。

年齢の幅も広く、World Athleticsの生年データでは最年長が1994年生まれの梅原紗月(12位)、最年少が2010年生まれの米山こころ(21位)。16歳離れた2人が同じ表に並んでいます。梅原はアジア大会の女子400mハードル代表で、400mは本職ではありません。もうひとり種目をまたいだ名前が25位の勝くるみ(筑波大)。9月7日の日本インカレ女子800mを2分05秒99で制した選手で、400mでも54秒85(自己新)を出しています。日本インカレの全種目の結果は日本インカレ2026結果まとめに掲載しています。

TOP30に3本を送り込んだ日本インカレの女子400m決勝は、こうでした。

TRACK HUB RESULTS

天皇賜盃 第95回日本学生陸上競技対校選手権大会(日本インカレ) 女子400m 決勝

2026-09-06 日産スタジアム(神奈川)

女子400m 決勝(9月6日 19:40)

順位選手所属記録
1中尾 柚希(4)園田学園大53.80
2佐藤 志保里(4)順天堂大54.40
3児島 柚月(4)立命館大54.42
4齋藤 朱里(2)立命館大55.35
5加藤 涼音(4)愛知淑徳大55.36
6江原 美月優(3)福岡大55.53
7山本 真菜(4)早稲田大56.06
DNS青木 アリエ(4)日本体育大—

8人が並んだ決勝は青木アリエの欠場で7人のレースになり、8位該当者はいません。優勝した中尾柚希は準決勝で54秒01、決勝で53秒80と上げており、アジア大会のリレー要員として名古屋に向かいます。

よくある質問

女子400mの日本記録は?

51秒75です。丹野麻美(ナチュリル)が2008年5月3日の静岡国際(エコパスタジアム)で出した記録で、日本陸連の日本記録ページ(2026年9月14日現在)にそのまま掲載されています。18年間更新されていません。

2026年に52秒台で走った日本人は何人?

1人です。松本奈菜子(東邦銀行)が5月10日の木南記念で52秒24、6月12日の日本選手権予選で52秒42、6月13日の決勝で52秒94、8月9日の富士北麓で52秒28と、今季4本の52秒台を出しています。2位以下は53秒台からになります。

高校生の2026年の最速タイムは?

日本陸連の2026 全国高等学校リモート陸上競技大会のランキングでは、バログン ハル(市川高3年・千葉)の53秒51が1位です。7月31日の全国高校総体も53秒74で制しています。高校生が持つU20日本記録は杉浦はる香(浜松市立高)が2013年の日本選手権で出した52秒52、U18日本記録は髙島咲季(相洋高)が2019年の静岡国際で出した53秒31です。

なぜ高校ランキング1位の選手がこの表にいないの?

本記事のTOP30はWorld Athleticsの日本トップリスト(2026年・日本国籍・屋外・1人1記録)を基盤にしており、53秒51はそのリストに載っていないためです。理由は公表資料から確認できていないので、編集部としては断定せず、該当する記録を本文の「この表に入っていない記録がある」の節で明示する方法をとっています。

アジア大会の女子400m代表は?

松本奈菜子(東邦銀行)1人です。あわせて4×400mRと混合4×400mRの要員として森山静穂(いちご)・中尾柚希(園田学園大)・寺本葵(アットホーム)が内定しています(2026年6月15日発表)。女子400mは9月25日に予選、26日に決勝です。日本勢のアジア大会女子400mのメダルは金1・銀4・銅4で、直近は2010年広州大会の千葉(旧姓・丹野)麻美の銀です。

このランキングはいつ更新される?

更新の時期は決めていません。更新したときは、タイトルの【 年 月版】と本文の集計基準日を書き換えます。現時点の集計基準日は2026年9月20日です。

まとめ

2026年の女子400mは、松本奈菜子の52秒24が1本抜けたシーズンでした。52秒台は松本だけ、日本記録51秒75との差は0秒49。アジアでは9位で、世界100傑に日本勢はいません。派遣設定記録51秒97が日本記録の0秒22落ちという設定も、この種目の現在地を映しています。一方でTOP30には高校生が6人入り、全国高校リモート陸上の1位は53秒51。どのリストを見るかで顔ぶれが変わることは、この種目を追ううえで覚えておいて損がありません。

短距離全体の練習の組み立てやレース運びは短距離走ガイドにまとめています。女子の短距離をもう1種目追うなら女子100mランキング2026もどうぞ。

自分の400mのタイムをこういう形で並べてみると、伸びているのか止まっているのかがはっきりします。陸上練習ノートアプリ TRACK HUB なら、レースごとの記録と風・コンディション・その日の練習を一緒に残せるので、来季の目標設定に使えるデータが自然にたまっていきます。まずは今季のベスト3本を入力してみてください。