やり投げ(やり投)の2026年・女子日本ランキングTOP30を、記録・所属・大会名・会場・日付つきで全30行そろえました。今季の日本最高は北口榛花(JAL)が9月12日にブダペストで投げた68m92。この記録は2026年の世界リストでも2位に入り、世界歴代では10位タイに並びます。順位づけはWorld Athleticsの日本トップリストを基盤に、国内で出た27行は主催団体の公式リザルトで、海外で出た3行は本文に明記した方法で1行ずつ照合しました。アジア大会2026の女子やり投決勝は9月27日21時03分です。

この記事でわかること

  • 2026年の女子やり投 日本TOP30(記録・所属・区分・大会・会場・日付の全30行)
  • 1位・北口榛花の68m92が、日本記録・日本歴代・2026年の世界のどこに位置するか
  • 今季のランキングを動かした5つのポイント(日本歴代との重なり/高校生ゼロ/海外で出た上位2記録/15大会への分散/層の厚み)
  • アジア大会2026の女子やり投 日本代表2人と、派遣設定記録60m25の現在地
  • 中学・高校・大学で何が変わるのか(やりの重さ・全国大会の有無・記録の目盛り)

明るい昼の陸上競技場に伸びるやり投の助走路

2026年 女子やり投 日本ランキングTOP30

2026年シーズンの女子やり投・日本人TOP30です。記録はすべて600gのやりによる公認記録で、1人につき今季ベストの1本だけを載せています。

順選手所属区分記録大会(会場)日付
1北口 榛花JAL社68m92第1回WAアルティメット選手権(ブダペスト・ハンガリー)9/12
2上田 百寧ゼンリン社63m50オルシュティン(ポーランド)※大会名は未確認8/30
3武本 紗栄オリコ社61m74第110回日本選手権(パロマ瑞穂スタジアム・愛知)6/12
4山元 祐季高田工業所社61m45第60回織田記念国際(広島広域公園陸上競技場)4/29
5斉藤 真理菜スズキ社60m45セイコーゴールデングランプリ2026東京(国立競技場)5/17
6辻 萌々子九州共立大 大学院1年大60m27第110回日本選手権(パロマ瑞穂スタジアム・愛知)6/12
7長 麻尋宮崎県スポーツ協会社56m77第60回織田記念国際(広島広域公園陸上競技場)4/29
8谷山 彩葉東京女子体育大3年大56m63第105回関東学生対校選手権(カンセキスタジアムとちぎ)5/23
9村上 碧海朋栄社56m53第74回全日本実業団選手権(たけびしスタジアム京都)9/12
10西村 莉子三菱電機社56m45第74回兵庫リレーカーニバル(ユニバー記念競技場・神戸)4/19
11田中 友梨スズキ社55m85第110回日本選手権(パロマ瑞穂スタジアム・愛知)6/12
12篠田 佳奈京都大 大学院2年大55m80第110回日本選手権(パロマ瑞穂スタジアム・愛知)6/12
13兵藤 秋穂関彰商事社55m52第74回兵庫リレーカーニバル(ユニバー記念競技場・神戸)4/19
14曽野 雅国士舘大3年大55m472026日本学生個人選手権(レモンガススタジアム平塚・神奈川)4/24
15倉田 紗優加慶應義塾大4年大54m51第105回関東学生対校選手権(カンセキスタジアムとちぎ)5/23
16櫻井 希美中京大3年大54m132026日本学生個人選手権(レモンガススタジアム平塚・神奈川)4/24
17鈴木 珊瑚九州共立大4年大53m41第2回九州共立大学チャレンジ陸上競技会(九州共立大学陸上競技場・北九州)4/11
18鈴木 彩夏大阪体育大1年大53m13U20世界選手権2026 予選(ヘイワードフィールド・ユージン/アメリカ)8/7
19齋藤 乃彩松田建設工業社53m09第60回織田記念国際(広島広域公園陸上競技場)4/29
20網本 玲菜九州共立大3年大52m72第6回九州共立大学チャレンジ陸上競技会(九州共立大学陸上競技場・北九州)8/2
21奈良岡 翠蘭ASUNARO社52m49第89回東京選手権(駒沢オリンピック公園総合運動場・東京)4/24
22松永 成美早稲田大2年大52m22第59回東京六大学対校(慶應義塾大学日吉陸上競技場・横浜)4/5
23黒川 愛星九州共立大1年大52m102026日本学生個人選手権(レモンガススタジアム平塚・神奈川)4/24
24浅賀 清美平成国際大2年大52m03第105回関東学生対校選手権(カンセキスタジアムとちぎ)5/23
25加藤 りの武庫川女子大 大学院2年大51m932026日本学生個人選手権(レモンガススタジアム平塚・神奈川)4/24
26堀内 律子栄光テクノ社51m71第74回全日本実業団選手権(たけびしスタジアム京都)9/12
27石垣 綾香愛知陸協社51m54第1回中京大学土曜競技会(中京大学・愛知)5/24
28小田 まゆFustar社51m43第110回日本選手権(パロマ瑞穂スタジアム・愛知)6/12
29堤 陽菜国士舘大4年大51m172026日本学生個人選手権(レモンガススタジアム平塚・神奈川)4/24
30中村 萌花国士舘大2年大51m13第105回関東学生対校選手権(カンセキスタジアムとちぎ)5/23

区分は「高=高校生/大=大学生(大学院生を含む)/社=実業団・クラブ・陸協などの社会人」。所属と学年は、記録を出した日の公式リザルトの表記に合わせています。日付はすべて2026年です。

このランキングの作り方と、照合に使った公式リザルト

順位の土台にしたのは、World Athleticsの2026年 女子やり投 日本トップリスト(屋外・1人1記録)を2026年9月21日に取得したデータです。集計基準日はこの9月21日になります。このリストには各国の連盟を通じて登録された公認記録だけが並ぶので、日本陸連の記録と同じ公認性を保ちながら、大会直後の反映が速いという利点があります。

そのうえで、国内で出た27行を主催団体の公式リザルトと1行ずつ突き合わせ、氏名の漢字・所属・学年・大会名・記録を確認しました。海外で出た3行の扱いは、このあとに分けて書きます。照合に使ったのは、日本陸連のリザルト(第110回日本選手権/セイコーゴールデングランプリ/兵庫リレーカーニバル)、広島陸上競技協会の織田記念公式リザルト、日本実業団陸上競技連合の全日本実業団公式速報、日本学生陸上競技連合・関東学生陸上競技連盟の学生大会リザルト、東京陸上競技協会の東京選手権速報、九州共立大学と中京大学の競技会リザルトです。インターハイとU20世界選手権のリザルトは、本文中の該当箇所でそれぞれ使っています。

集計のルールは次のとおりです。

  • 1人1記録。同じ選手が複数の記録を持つ場合は今季ベストの1本だけを載せます
  • 公認記録のみ。やり投には追い風参考という概念がなく、風速によって記録が失効することはありません。距離は日本陸連の競技規則TR32.19により、cm未満を切り捨てた0.01m単位で記録されます
  • 順位が同じ場合はWorld Athleticsのリストの並び順に従いました

裏取りで残した留保は1つです。

  • 2位・上田百寧…8月30日にポーランドのオルシュティンで出た記録で、日本の主催団体の公式リザルトが存在しません。氏名の漢字・所属(ゼンリン)は第110回日本選手権と第74回全日本実業団選手権の公式リザルトで確認済みですが、大会名と63m50という記録そのものはWorld Athleticsのリスト以外で確認できていません

1位・北口榛花の68m92(ブダペスト)と18位・鈴木彩夏の53m13(ユージン)も海外での記録ですが、前者はWorld Athleticsの公式リザルト、後者は日本陸連が公表したU20世界選手権2026の日本代表リザルトで確認できています。

この記事には、1位・北口榛花本人のX(旧Twitter)投稿を1件埋め込んでいます。アカウント(@giant_babyparu)が本人のものであることは、日本陸連の選手プロフィールページにSNSリンクとして掲載されていることで確認しました。

1位・北口榛花の68m92は、どんな記録なのか

今季の日本最高は、9月12日にハンガリー・ブダペストで行われた第1回WAアルティメット選手権の決勝で、北口榛花(JAL)が投げた68m92です。この大会は1人4投で争う短い試合形式で、World Athleticsの公式リザルトによると北口の内訳は1投目61m15、2投目68m92、3投目と4投目が無効試技。勝負を決めたのは2投目の1本でした。大会の全体像は世界陸上アルティメット2026の結果まとめで扱っています。

この68m92を4つのものさしに当てはめると、位置がはっきりします。

  • 2026年の世界で2位。World Athleticsの2026年世界トップリストで、68m92より上にいるのは中国の嚴子怡(71m74)だけです
  • 世界歴代では10位タイ。World Athleticsの女子やり投オールタイム・トップリストで、68m92には北口とキャサリン・ミッチェル(オーストラリア/2018年)の2人が並びます。世界記録は2008年9月13日にシュツットガルトでバルボラ・シュポタコバ(チェコ)が投げた72m28です
  • 前の日本最高より1m54上。従来の日本記録は北口自身が2023年9月8日のダイヤモンドリーグ ブリュッセル大会で出した67m38です
  • 日本記録としての扱いは、日本陸連のなかでまだ2通りある。次項で整理します

日本記録としての扱いは、まだ2通りある

ここは正確に書いておきます。日本陸連の日本記録一覧・女子は「2026年9月14日現在/申請中の記録も含む」と明記されていますが、9月21日時点で確認できる女子やり投の日本記録は67m38(北口榛花・2023年9月8日・ダイヤモンドリーグ ブリュッセル大会)のままです。

一方で、同じ日本陸連の北口榛花選手のプロフィールページは、自己ベスト欄に「やり投:68.92(2026.9 WAアルティメット選手権)日本記録」と表示しています。基準日はこちらも2026年9月14日です。

つまり同じ日本陸連のサイトで、記録一覧は67m38、選手プロフィールは68m92を日本記録として表示している状態です。本記事では両方を事実として併記し、どちらか一方に寄せた書き方はしていません。ランキングの1位の記録としては、World Athleticsの公認リストに載っている68m92を採用しています。

北口榛花の年次ベストで見る2026年

日本陸連のプロフィールページには年次ベストの一覧が載っています。ここ10年を並べると、今季の位置づけが見えてきます。

年年次ベスト年年次ベスト
2017年61m072022年65m68
2018年60m482023年67m38
2019年66m002024年65m80
2020年63m452025年64m63
2021年62m062026年68m92

2023年に67m38を出したあと、2024年は65m80、2025年は64m63と2年続けて数字が下がっていました。そこからの68m92は、3年ぶりの自己記録更新にあたります。

シーズンの進み方も急でした。日本陸連が公開したアジア大会の企画記事によれば、北口は6月12日の日本選手権で62m86、6月28日のパリで63m01、8月21日のローザンヌで64m90、9月5日のブリュッセルで65m44と段階的に記録を上げ、9月12日のブダペストで68m92に到達しています。5月17日のゴールデングランプリでは60m36だったので、4か月弱で8m以上を積み上げたシーズンでした。

このシーズンの起点として本人が発信しているのが、コーチ体制の変更です。

北口榛花 harukaKitaguchi@giant_babyparu

こんにちは。 南アフリカでのキャンプを経て正式にコーチングをお願いすることになりました。 新たなスタートをレジェンドであるヤンゼレズニーさんとできてとても嬉しいです。やり投のことはもちろんメンタリティも含めて吸収していきたいです。 受け入れてくれたチームメイトにも感謝しています。…

投稿にある「ヤンゼレズニーさん」は、男子やり投の世界記録98m48(1996年)を30年にわたって保持しているヤン・ゼレズニー(チェコ)のことです。日本陸連の企画記事も、北口が2026年からゼレズニーコーチと契約し、フォームの修正に取り組んできたと伝えています。5月1日のこの投稿から4か月半で日本記録更新にたどり着いた、という時系列です。

2026年の女子やり投ランキング、ここが動いた5つのポイント

TOP30の30行を並べ直すと、順位表を眺めているだけでは見えない傾向が出てきます。

日本歴代トップ12のうち4つが、2026年の記録

女子やり投の日本歴代を並べると、上位12人のうち4人が「今季の記録」で載っています。1位の北口榛花68m92、3位の上田百寧63m50、7位の山元祐季61m45、12位の辻萌々子60m27です。

歴代の記録は何年もかけて1つずつ積み上がるものなので、1シーズンで4つ入るのは明らかな当たり年です。しかも上田・山元・辻の3人は、その記録がそのまま自己ベストの更新にあたります(3人ともWorld Athleticsの日本人オールタイム・トップリストで、今季の記録が本人の最高記録として載っています)。

TOP30に現役高校生はゼロ|インターハイ優勝の50m35は34位

今季のTOP30を区分で分けると、社会人15人・大学生15人でちょうど半分ずつ。高校生は1人も入っていません。

では高校生の最上位はどこかというと、日本トップリストの34位です。8月1日のインターハイ2026(平和堂HATOスタジアム・滋賀)で優勝した赤木凛乃杏(四学香川西2年)の50m35が、今季の日本高校最高にあたります。

TRACK HUB RESULTS

令和8年度全国高等学校総合体育大会 全国高等学校陸上競技対校選手権大会 女子やり投(600g) 決勝

2026-08-01 平和堂HATOスタジアム(滋賀)

女子やり投(600g) 決勝

順位選手所属記録
1赤木 凛乃杏(2)四学香川西(香川)50m35
2松山 亜緒(3)宇治山田商(三重)48m16
3前田 結茉(1)宮崎工(宮崎)47m33
4新井 里奈(3)南多摩中等(東京)45m32
5雨堤 花帆(3)日立一(茨城)44m99
6近藤 理巴(3)三好(愛知)44m39
7板谷 帆花(2)中村学園(福岡)43m85
8原 悠華(3)中京大中京(愛知)42m98

同じ枠組みで集計した女子走幅跳ランキング2026と比べると、差がはっきりします。走幅跳はTOP30に高校生が5人入り、インターハイ優勝記録はそのまま全体5位でした。やり投では、インターハイの優勝記録がTOP30の入口(30位=51m13)にも届いていません。

一方で、TOP30の下のほうには大学1年生が並んでいます。18位の鈴木彩夏(大阪体育大1年)と23位の黒川愛星(九州共立大1年)がそれで、TOP30のすぐ外側・31位の木崎愛(福岡大/8月21日の第81回九州選手権で50m90)も、公式リザルトの生年表記から同じ学年にあたります。高校を出た直後の1年で、50m前半から52m前後まで一段上がる——今季のデータはその形を示しています。

上位2つの記録は、どちらも海外の大会で出た

今季の1位68m92(ブダペスト)と2位63m50(ポーランドのオルシュティン)は、どちらも日本国内の大会では出ていません。3位以下で海外の記録は18位・鈴木彩夏のU20世界選手権(アメリカ・ユージン)だけで、残る27行は日本選手権・織田記念・ゴールデングランプリ・兵庫リレーカーニバル・全日本実業団・東京選手権・学生の大会が舞台になっています。

この構図が意味するのは単純で、日本のトップ2人はすでに国内の大会を主戦場にしていないということです。国内で出た今季最高記録は、3位・武本紗栄が6月12日の日本選手権で投げた61m74になります。

競技場の芝生に刺さったやり

記録は15の大会に分散|最多は日本選手権と日本学生個人の各5人

30行がどの大会で生まれたかを数えると、次のようになります。

大会TOP30入りした人数該当順位
第110回日本選手権(6/12・パロマ瑞穂スタジアム)5人3・6・11・12・28位
2026日本学生個人選手権(4/24・レモンガススタジアム平塚)5人14・16・23・25・29位
第105回関東学生対校選手権(5/23・カンセキスタジアムとちぎ)4人8・15・24・30位
第60回織田記念国際(4/29・広島広域公園陸上競技場)3人4・7・19位
第74回兵庫リレーカーニバル(4/19・ユニバー記念競技場)2人10・13位
第74回全日本実業団選手権(9/12・たけびしスタジアム京都)2人9・26位
九州共立大学チャレンジ陸上競技会(第2回4/11・第6回8/2)2人17・20位
その他7大会(各1人)7人1・2・5・18・21・22・27位

30行は15の大会に分かれました。目を引くのは学生の大会の存在感で、日本学生個人選手権と関東学生対校選手権の2つだけで9人、TOP30の3割が出ています。大学の競技会(九州共立大学・中京大学)や東京六大学対校といった、招待選手のいない試合からも4人が入りました。

一方、日本のトップが集まる日本選手権の決勝からは、5人が今季ベストを出してTOP30入りしています。

TRACK HUB RESULTS

第110回日本陸上競技選手権大会 女子やり投(600g) 決勝

2026-06-12 パロマ瑞穂スタジアム(名古屋市瑞穂公園陸上競技場・愛知)

女子やり投(600g) 決勝

順位選手所属記録備考
1北口 榛花JAL(東京)62m86AJS
2武本 紗栄オリコ(東京)61m74AJS
3上田 百寧ゼンリン(福岡)61m03AJS
4辻 萌々子九州共立大(愛知)60m27AJS
5山元 祐季高田工業所(福岡)58m70
6斉藤 真理菜スズキ(静岡)57m90
7田中 友梨スズキ(静岡)55m85
8篠田 佳奈京都大(岐阜)55m80

AJSは公式リザルトの凡例どおり「アジア大会派遣設定記録」を突破したことを示す記号で、この日は上位4人に付きました。北口の62m86は5投目、武本の61m74も5投目、上田の61m03は1投目、辻の60m27は1投目に出た記録です。この日に設定記録を上回ったのは4人でしたが、アジア大会の代表に入ったのは1位と2位の2人でした。

60m超え6人・50m超え35人という、今季の層の厚み

World Athleticsの日本トップリスト(2026年9月21日時点)を全行数えると、60m以上が6人、50m以上が35人でした。TOP30のボーダー(30位)は51m13なので、50m台の選手が5人、ランキング表の外側に並んでいることになります。

60mを超えた6人(北口・上田・武本・山元・斉藤・辻)は、いずれもアジア大会の派遣設定記録60m25を今季上回っています。この数値は日本陸連が公表した代表選考の資料に記載されたもので、日本選手権の公式リザルトの凡例にも同じ「AJS」として反映されています。なお日本陸連が5月25日時点でクリア者として挙げていたのは、山元(61m45)・上田(61m40)・斉藤(60m45)・北口(60m36)の4人でした。

もう1つ、表の11位に注目してください。田中友梨(スズキ)は、6月6〜7日の日本選手権混成(岐阜メモリアルセンター)で七種競技の日本記録6050点を出した選手です。日本陸連の日本記録一覧に記載された内訳(13.89-1.70-12.89-25.72-5.76-54.82-2:12.52)のうち、やり投の54m82が日本記録の構成要素になっています。単独種目のTOP30と混成の日本記録が、同じ選手でつながっているわけです。

アジア大会2026の女子やり投|代表2人と9月27日21時03分

愛知・名古屋2026アジア競技大会(第20回アジア競技大会)の陸上競技は、2026年9月23日(水・祝)から29日(火)まで、名古屋市瑞穂公園陸上競技場(パロマ瑞穂スタジアム)で行われます。

項目内容
実施日2026年9月27日(日)=大会第5日
ラウンド決勝のみ(予選なし)
開始時刻21時03分(日本時間)
日本代表北口榛花(JAL)/武本紗栄(オリコ)
放送・配信TBS系列 18時30分〜23時24分 生中継(TVerでリアルタイム配信)。U-NEXTは7時30分から配信

日程と放送枠は、日本陸連が開設したアジア大会2026の特設タイムテーブル(2026年8月28日現在)で公表されているものです。女子やり投の決勝は、TBS系列の放送予定種目にも入っています。

日本代表の2人はどちらも今季の日本ランキング上位で、派遣設定記録60m25を上回った6人のうちの2人です。北口はアジア大会が初出場、武本は2023年の杭州大会に続く2回目(前回は6位)だと日本陸連は紹介しています。

注目すべき相手は明確です。日本選手権の公式リザルトの記録欄にも記載されているとおり、アジア記録は2026年に中国の嚴子怡がマークした71m74。今季の世界リストでも1位で、北口の68m92を2m82上回ります。日本陸連の企画記事は、嚴が2008年5月生まれの18歳で、2026年に自己ベストを一気に更新し、その後も67m台から68m台を続けて投げていることを伝えています。同じ記事によれば、アジア大会の大会記録は2018年8月28日のジャカルタ大会で劉詩颖(中国)が投げた66m09です。

大会全体の日程や日本代表の顔ぶれは、アジア大会2026 陸上競技の日程×日本代表ガイドにまとめています。

女子やり投の日本歴代10傑と、2026年の世界トップ10

まず日本歴代です。World Athleticsの日本人オールタイム・トップリスト(1人1記録)から10人を並べます。

順記録選手年
168m92北口 榛花2026年
263m80海老原 有希2015年
363m50上田 百寧2026年
462m88佐藤 友佳2019年
562m39武本 紗栄2021年
662m37斉藤 真理菜2017年
761m45山元 祐季2026年
861m15三宅 貴子2001年
961m10長 麻尋2023年
1060m86宮下 梨沙2016年

漢字表記は、海老原有希・三宅貴子・宮下梨沙の3人を日本陸連の日本選手権 過去の優勝者一覧(女子やり投)で、佐藤友佳を日本陸連の選手プロフィール(1992年7月21日生・自己ベスト62.88/2019年6月・日本選手権)で確認しました。World Athleticsのリストでは4位の選手が「Yuka MORI」と表記されていますが、生年月日・記録・大会がすべて一致するため同一の選手です。

この10人のうち6人(北口・上田・武本・斉藤・山元・長)が、今季のTOP30にも名前を残しています。歴代の顔ぶれがそのまま現役で戦っている種目だ、ということです。

次に2026年の世界トップ10です。

順記録選手国
171m74嚴 子怡中国
268m92北口 榛花日本
367m34フロル・デニス・ルイス・ウルタドコロンビア
465m93アドリアナ・ビラゴシュセルビア
565m39ユレンミス・アギラルスペイン
665m00シグリッド・ボルゲノルウェー
763m88マディソン・ウィルトラウトアメリカ
863m50上田 百寧日本
963m37マッケンジー・リトルオーストラリア
1062m78マリア・アンドレイチクポーランド

世界トップ10に日本勢が2人入っています。2位の北口と8位の上田です。同じ枠組みで9月8日を基準日に集計した女子走幅跳では、今季の日本最高が世界163位タイでした。女子やり投が日本にとってどれだけ良い年だったかが分かります。

女子やり投げの記録の目盛り|中学・高校・大学で何が変わるか

「50mは速いのか」「40mでどのくらいか」が分かりにくい種目なので、公式の基準を並べておきます。

区分やりの重さ目安になる公式の数字出典
中学(全国大会)—女子やり投という種目が実施されていない第53回全日本中学校陸上競技選手権大会 競技日程
U18(全国大会の資格記録)600gJOCジュニアオリンピックカップU18 申込資格記録 41m00同大会要項 別紙2
高校(インターハイ)600g2026年 予選通過記録 44m00/優勝 50m35インターハイ2026 公式記録集
日本高校記録600g58m90 北口榛花・旭川東高/2015年10月16日インターハイ2026 公式記録集 p.128
U18日本記録500g60m35 北口榛花・旭川東高/2015年7月16日・世界ユース日本陸連 U18日本記録一覧
U20日本記録600g61m38 北口榛花・日本大/2016年5月8日・セイコーGGP川崎日本陸連 U20日本記録一覧
大学・社会人600g今季TOP30のボーダー 51m13/60m超えは6人World Athletics 2026年日本トップリスト
日本記録600g67m38 記録一覧・2026年9月14日現在/プロフィール表示は68m92日本陸連

この表で目を引くのは、日本高校記録・U18日本記録・U20日本記録・日本記録・日本選手権の大会記録(63m68)が、すべて北口榛花の名前で埋まっていることです。高校時代から現在まで、1人の選手が日本の女子やり投の目盛りをそのまま作ってきたことになります。

中学の全国大会に、女子やり投はない

第53回全日本中学校陸上競技選手権大会(2026年8月20〜23日・山口)の競技日程を4日分すべて確認したところ、女子の投てき種目は砲丸投と四種競技の砲丸投だけで、やり投もジャベリックスローも実施されていません。男子も同様です。

つまり多くの選手にとって、やりを本格的に投げ始めるのは高校からです。高校3年間で50m前後まで伸ばした選手が、大学・社会人で55〜60mへ積み上げていく——今季のTOP30に大学生と社会人しかいないのは、この構造の結果として読めます。投げの基礎づくりという意味では、中学年代は砲丸投が入口になります。持ち方から突き出しまでの段階練習は砲丸投げの投げ方で解説しています。

なおインターハイの女子やり投は600g(一般と同じ規格)で行われます。一方でU18日本記録は500gのやりによる記録なので、同じ「U18」でも国内の高校大会と国際大会のU18カテゴリーでは用具が違う点に注意してください。全国高校総体の結果全体はインターハイ陸上2026の結果まとめで扱っています。

やりの規格と、覚えておきたい競技規則

日本陸連の競技規則2026(ルールブック)の用器具規格表によると、やりの最小重量と全長は次のとおりです。

区分最小重量(グリップを含む)全長
男子 一般・高校・U20800g2m600〜2m700
男子 U18700g2m300〜2m400
女子 一般・高校・U20600g2m200〜2m300
女子 U18500g2m000〜2m100

試合の進み方と判定に関わる条文も、押さえておくと記録表が読みやすくなります。

  • 試技数(TR25.6)…参加者が8人を超えるときは全員が3回投げ、有効記録の上位8人がさらに3回。合計6回です。8人以下のときは全員が6回投げます
  • 握り方(TR38.1)…やりは片手でグリップのところを握り、肩または投げる方の腕の上で投げます。振りまわして投げることは認められません
  • 有効の条件(TR38.2)…やりの頭部が、他のどの部分よりも先に地面に落下した場合にだけ有効になります
  • 着地範囲(TR32.12.2)…着地場所の角度は28.96度。角度線に触れた痕跡は無効試技です(TR32.16)
  • 助走路からの出方(TR32.17.3)…投げ終わったあとは、スターティング・ラインの4m後方に引かれたラインに触れるか、その後方へ下がることで「正しく助走路を離れた」と見なされます
  • 記録の単位(TR32.19)…cm未満を切り捨てた0.01m単位。記録が「50m35」のように表記されるのはこのためです

フィールド種目全体の見方はフィールド種目ガイドにまとめています。

よくある質問

女子やり投げの日本記録は67m38ですか、68m92ですか

2026年9月21日時点では、日本陸連のなかで表示が分かれています。日本記録一覧(2026年9月14日現在/申請中の記録も含む)は67m38(北口榛花・2023年9月8日)のままで、北口榛花選手のプロフィールページは「68.92(2026.9 WAアルティメット選手権)日本記録」と表示しています。記録そのものはWorld Athleticsの公認リストに載っているので、公認性の問題ではなく一覧ページへの反映の問題とみられます。本記事では両方を併記しています。

女子のやりは何グラムですか

一般・高校・U20は600g、U18(国際大会のカテゴリー)は500gです。全長は600gのやりが2m200〜2m300と規定されています。国内のインターハイは600gで実施されます。

中学生でもやり投げの大会に出られますか

全日本中学校陸上競技選手権大会(全中)に女子やり投はありません。2026年の競技日程を確認しても、女子の投てきは砲丸投と四種競技の砲丸投だけです。

ただし、やりに近い動きで競う種目はあります。JOCジュニアオリンピックカップのU16には、都道府県代表枠としてジャベリックスローが男女とも設けられています。出典は同大会要項の別紙3で、申込資格記録の設定はありません。中学年代は砲丸投で投げの基礎をつくりながら、こうした大会でジャベリックスローを経験し、高校からやり投へ移るのが一般的なルートになります。

高校生でやり投げ50mはどのくらいのレベルですか

2026年のインターハイ女子やり投は、優勝が50m35、8位が42m98でした。予選通過記録は44m00です。つまり50mを超えると全国の優勝争いに届く水準です。ただし日本全体のランキングで見ると50m35は34位で、TOP30のボーダー51m13にわずかに届きません。

アジア大会2026の女子やり投はいつ、誰が出ますか

2026年9月27日(日)21時03分から、予選なしの決勝のみが行われます。日本代表は北口榛花(JAL)と武本紗栄(オリコ)の2人です。TBS系列で18時30分から23時24分まで生中継され、TVerでリアルタイム配信、U-NEXTは7時30分から配信されます。

まとめ

2026年の女子やり投・日本ランキングを整理します。

  • 今季の日本最高は北口榛花(JAL)の68m92。9月12日の第1回WAアルティメット選手権(ブダペスト)で出た記録で、2026年の世界リストでは2位、世界歴代でも10位タイに位置する
  • 日本記録としての扱いは日本陸連のなかで2通り。記録一覧(2026年9月14日現在)は67m38のまま、選手プロフィールは68m92を日本記録と表示している
  • 日本歴代トップ12のうち4つが2026年の記録で、世界トップ10にも日本勢が2人(北口・上田百寧)。女子やり投にとって明確な当たり年だった
  • TOP30は社会人15人・大学生15人で、現役高校生はゼロ。インターハイ優勝の50m35は日本トップリストで34位にとどまり、走幅跳(高校生5人)とは対照的な構造になっている
  • アジア大会2026の女子やり投決勝は9月27日21時03分。日本代表は北口榛花と武本紗栄で、アジア記録71m74を持つ嚴子怡(中国)が最大の相手になる

やり投は1本の試技で順位が入れ替わる種目です。北口榛花が2投目の1本で68m92を投げたように、記録は「良かった1本」がどこで出たかで決まります。陸上練習ノートアプリ「TRACK HUB」は、日々の練習と試合の記録を種目別に残し、推移をグラフで見返せるアプリです。助走の距離、クロスステップの歩数、その日の記録を並べて残しておけば、自分の良かった1本がどんな条件で出たのかが後から分かるようになります。来シーズンの積み上げは、そこから始まります。