長距離のインターバル走は、「何mを・何本・どれくらいの休息で・どのくらいの速さで」という4つの数字が決まれば組めます。逆に言うと、この4つを目的から決めずに「とりあえず1000m×5本」をやっているうちは、練習は運任せです。この記事では、日本陸連の公式指導手引きと、インターバルトレーニングを変数に分解した研究の分類をもとに、目的別の設計からペース設定、レベル別メニュー、駅伝シーズンの組み込みまでをまとめます。
この記事でわかること
- インターバル走を決める4つの数字と、研究が示す9つの変数
- スピード持久力・VO2max・レースペースの目的別に、距離・本数・休息をどう変えるか
- 自分のベストタイムから設定タイムを逆算する3ステップ
- 中学生・高校生・市民ランナー(初心者を含む)それぞれの1週間への組み込み方
- 駅伝シーズン(10〜1月)の置き方と、やめどきの判断基準
長距離のインターバル走は「4つの数字」で決まる
結論から書きます。インターバル走のメニューは、次の4つを目的から決めれば完成します。
| 決めるもの | 具体例 | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 疾走距離(=疾走時間) | 200m / 400m / 600m / 1000m | 何を伸ばしたいか |
| 本数 | 5本 / 8本 / 10本 | 疾走時間とのセットで決まる |
| 休息(レスト) | 90秒 / 2分 / 200mジョグ | 目的。ここが最重要 |
| 設定タイム | 1000mを3分20秒 | 自分のレースタイムからの逆算 |
この4つでいちばん適当に決められがちな休息こそ、実はインターバル走の本体です。
筑波大学陸上競技研究室のコラム「Rikupedia」は、インターバルトレーニングが少なくとも9つの変数(運動強度・運動時間・休息時間・休息期運動強度・1セットの総時間・セット数・セット間休息時間・セット間休息期運動強度・運動様式)で構成されると整理しています(Buchheit and Laursen, 2013a を紹介)。特に重要とされるのは運動強度・運動時間・休息時間・休息期運動強度の4つ。そのうち2つが休息に関するものです。
インターバルとレペティションの違いは「休息が不完全か完全か」
日本陸連『中学校部活動における陸上競技指導の手引き』の3章は、インターバル走を「高強度の走運動を、短い休息を挟んで行います。スピードと持久力、両方の能力を向上させることができる練習です」と説明しています。同書の陸上競技用語集は「インターバル」に、①ハードル間の走区間、②インターバルトレーニングの略、③その休息(ジョギングや歩行など)の時間や距離そのもの、の3義を与えています。レペティショントレーニングは同用語集で「高強度のランニングを、完全休息を挟んで何回か繰り返す」と定義されています。
| インターバル走 | レペティション | |
|---|---|---|
| 休息 | 不完全(回復しきる前に次へ) | 完全(しっかり回復してから次へ) |
| 休息の長さの目安 | 1〜2分、または100〜200mのジョグ | 15〜20分 |
| 本数 | 多め(手引きの例で4〜10本) | 少なめ(2〜3回) |
| 1本の質 | レースペース前後 | レースを意識して全力 |
表の数値は同じ手引きによります。3章はインターバル走の休息を「時間(1〜2分)や距離(100〜200mをジョギングでつなぐ)」、レペティションを「15〜20分程度」「タイムトライアルを2〜3回」としています。本数は3章が800mの例で「4〜5本」、4章の表4「中長距離走の練習計画」が一般的準備期に「1000m×4〜6本」、専門的準備期に「400m×10本」。なおレペティションの休息は、同じ手引きでも4章の試合期の例が「セット間30分」と長めで、距離と時期で幅があります。
中距離の練習全体の組み立ては800m練習メニューの完全ガイドで整理しています。
インターバル走の効果と目的別のやり方|3つの設計図
インターバル走の効果と、その限界
有名なタバタプロトコル(20秒運動→10秒休息を7〜8回)は、6週間で最大酸素摂取量と、無酸素性能力の指標である最大酸素借の両方が高まったと報告されています(Tabata et al., 1996)。ただし前出のRikupediaは、同じプロトコルと20分間の持続的運動を比べた研究で両方のトレーニングが同程度の効果だったこと(Foster et al., 2015)も併せて紹介しています。同コラムは、この研究が一般成人を対象としているため日常的にトレーニングしている人への解釈には注意が必要だとも断っています。「持続走より必ず効く」と言える根拠ではない、という読み方が安全です。
限界もあります。同研究室の別のコラムは、最大酸素摂取量、乳酸性作業閾値(LT。血中乳酸濃度が上昇を始める点。4mmol/Lに達する点はOBLA)、ランニングエコノミー(同じ速度をどれだけ少ない酸素摂取量で走れるか)の3指標を合わせても、長距離走のパフォーマンスの70%程度しか説明できないという報告を紹介しています。
長距離選手が使うのはShort ITとLong IT
Rikupediaは、インターバルトレーニングをRST・SIT・Short IT・Long ITの4タイプに分類し、Buchheit and Laursen(2013b)をもとにした推奨プロトコルの表を掲載しています。境目は疾走時間で、Short ITは運動時間60秒未満、Long ITは60秒以上です。
| タイプ | 運動時間 | 運動強度 | 休息時間 | 休息様式 | 反復回数 | セット数 | セット間休息 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Short IT | 15秒以上 | 100〜120%vVO2max | 15秒以内/15秒以上 | 完全休息/軽運動 | 計8分以上 | 2〜3 | 4〜5分以下の軽運動 |
| Long IT | 2分 | 95%vVO2max以上 | 2分以下 | 完全休息 | 6〜10回 | 1 | − |
| Long IT | 3分 | 95%vVO2max以上 | 2分以下 | 完全休息 | 5〜8回 | 1 | − |
同表の注記によれば、100%vVO2maxとは最大酸素摂取量の走速度で、およそ全力走速度の50〜70%程度。期待される効果は中枢系(心肺)と末梢系(筋)の有酸素性能力に分けて数値化され、Long ITは中枢系への数値が4タイプ中で最大です。
目的①:心肺(VO2max)を押し上げたい
いちばん一般的な「インターバル走」のイメージがこれで、骨格は上の表のLong ITがそのまま使えます。疾走2分なら6〜10本、3分なら5〜8本、休息は2分以下。疾走2〜3分を距離に直すと、1000mを3分20秒で走る選手なら600〜900mです。定番の「1000m×5本」がこの枠に入るのは1000mを3分00秒前後で走れる水準からで、それより遅いうちは狙いが枠から外れる、というのが編集部の整理です。休息を立って休むかジョグでつなぐかは資料ごとに前提が割れます(後述のFAQ)。

目的②:スピード持久力をつけたい
スピード持久力は、陸連の用語集では「高いスピードを持続することができる能力のこと。生理学的には、筋肉を速く強く動かし続ける能力を指す」と定義され、400mなどの種目に求められる能力とされています。長距離でも、ラストの切り替えや駅伝の上りで離されない場面で効きます。前出のRikupediaのコラムは、無酸素性トレーニングとしてのインターバルを、Iaia and Bangsbo(2010)をもとに3つに区分した表も掲載しています。
| 区分 | 運動時間 | 運動強度(%全力走速度) | 休息時間 | 反復回数 |
|---|---|---|---|---|
| スピードトレーニング | 2〜10秒 | 100 | 50〜100秒 | 5〜20回 |
| 出力型スピード持久トレーニング | 10〜40秒 | 70〜100 | 運動時間×5以上 | 3〜12回 |
| 維持型スピード持久トレーニング | 5〜90秒 | 50〜100 | 運動時間×1〜3 | 2〜25回 |
ここに「休息の決め方」の答えがあります。休息は秒数ではなく、疾走時間に対する倍率で決めます。出力型なら疾走時間の5倍以上、疲れた状態でスピードを維持する維持型なら1〜3倍。200mを30秒で走るなら、出力型は休息150秒以上、維持型は30〜90秒で、同じ200m×10本でも別物です。長距離の文脈で使いやすいのは維持型だというのが編集部の整理で、同コラムによれば維持型はShort ITとLong ITの両方に該当します。
目的③:レースペースに体を慣らしたい
記録を狙うレースの直前期に効くタイプです。手引きも負荷の設定にレースタイムを参考にするとよいとしており、計算手順が次章です。本番のラップを脚と呼吸に覚えさせるのが目的なので、この狙いの日にかぎっては、設定より速く走った本もむしろ失敗です。
インターバル走のペース設定|ベストタイムから逆算する3ステップ
Step 1:基準にするレースを1つ決める
直近3か月以内に走った専門種目のベストを1つ選びます。中学生なら1500mか3000m、高校生なら1500mか5000m、市民ランナーなら5km。基準レースが長すぎると換算値がゆるくなるので、フルやハーフしか記録がない人はまず5kmを測ってください。
Step 2:疾走距離あたりの平均タイムに割る
手引きは800mのベストが2分30秒の選手を例に、200mは平均37.5秒で走る計算になるとして、200mを37秒前後で4〜5本という組み立てを示しています。ただしこれは800mの選手に示した例で、1500mや3000mで同じ比率が妥当かは書かれていません。距離は目的①②の枠を優先してください。
3000mを基準にすると次のようになります。いずれも単純な割り算で出した計算値なので、自分の記録で置き換えて計算し直してください。
| 3000mベスト | 1000m換算 | 600m換算 | 400m換算 | 300m換算 | 200m換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12分00秒 | 4分00秒 | 2分24秒 | 1分36秒 | 1分12秒 | 48秒 |
| 11分00秒 | 3分40秒 | 2分12秒 | 1分28秒 | 66秒 | 44秒 |
| 10分00秒 | 3分20秒 | 2分00秒 | 1分20秒 | 60秒 | 40秒 |
| 9分30秒 | 3分10秒 | 1分54秒 | 1分16秒 | 57秒 | 38秒 |
| 9分00秒 | 3分00秒 | 1分48秒 | 1分12秒 | 54秒 | 36秒 |
| 8分30秒 | 2分50秒 | 1分42秒 | 1分08秒 | 51秒 | 34秒 |
Step 3:目的に応じて補正する
Step 2で出た数字は基準レースのレースペースです。レースペース狙いとVO2max狙いはこの換算値をそのまま使い、距離だけを目的①②の枠(VO2maxは疾走2〜3分、維持型は疾走90秒以内)に合わせます。補正をかけるのは維持型だけで、換算値より1本あたり2〜3秒速く。この「2〜3秒」は、維持型の強度が全力走速度の50〜100%と幅広いため編集部が中高生向けに狭めた目安で、原典にこの数値はありません。
設定を動かす順番にも決まりがあります。手引きは「余裕をもってこなせるようになったら、設定タイムを速くしたり、走る距離を長くしたり、休息時間を短くするなどして、よりレースに近い強度で練習を行うようにします」と書いています。1回の見直しで変えるのは1つだけです。
世界トップの現場は「インターバルの総量」を季節で動かしている
日本陸連と日本実業団陸上競技連合が2018年11月4日に共催した中距離指導者研修会の講師、マーク・ローランド氏(オレゴントラッククラブエリート ヘッドコーチ、1988年ソウル五輪3000mSC銅メダリスト)の講義資料が、日本陸連のレポートに掲載されています。資料の1枚は、同氏が指導したマイケル・イースト選手(イギリス、2004年アテネ五輪1500m6位)の2003-04シーズン年間計画表(48週)。インターバルの行には6k、8k、5k、3k、5k、3k、1500mという数字が並びます。ローランドコーチは講義で「800mのインターバルで合計の距離が5〜6km程度を行う。800mの強い選手であれば、8kmくらいまで行けることがある」と説明しており、この数字は1本の距離ではなく、その日の合計距離を指していると読めます。秋の6kmが基礎づくりの冬に8kmまで膨らみ、冬の試合期に向けて5km・3kmへ。春の2度目の基礎づくり期で5kmに戻り、夏のレースが近づくとまた3km、1500mへ縮みます。
設定が落ちたときの対処も語られています。
リカバリー2分で行う6〜8kmのインターバルの場合、最初の1〜2本はこのまま行うが、後半になると疲れてペースが落ちてしまうので、6kmだったものを半分の3kmに、8kmだったものを4kmにして、(ペースを落とさず)つなぐようにする。私は、1回の練習のなかでペースを変えることもけっこうやるタイプの指導者で、ペースを下げることもあるが、基本的には変えないように意識して行うようにしている。
後半にペースが落ちたら、その日の合計距離を半分に切ってでもペースは守る。本人も「ペースを下げることもある」と留保していますが、原則は設定優先です。
効き目は乳酸の実測で確かめられています。同レポートによれば、ローランドコーチはイースト選手に1マイルを1分〜1分半のリカバリーで5本走らせ、毎本の血中乳酸を測定。講義資料のグラフでは、5本目の値が2003年3月の約7mMから1年後には約4mMまで下がっています。同じ練習が同じペースのまま楽になる。これが長距離で起きている変化の正体です。中高生に乳酸を測る機会はまずありませんが、代わりの指標はあります。先月と同じ設定・同じ本数を、より少ないきつさで終えられたかどうか。陸上ノートの書き方7ブロックの日本陸連公式書式なら、設定・実走・主観の3点が残ります。
レベル別のインターバル走メニュー例|中学生・高校生・市民ランナー
週の総量には天井があります。文部科学省が2025年12月に策定した「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」は、休養日を週2日以上、活動時間を長くとも平日1日2時間程度・休日1日3時間程度、週当たり11時間程度の範囲内と定めています。アップ・ダウン・補強・移動を入れると、インターバルやレペティションのような最高強度のポイントに回せるのは現実的に週2回までです。手引きも、練習による疲労は「24〜48時間程度で回復し、さらにそれまでの状態以上にまで高められます」として、これを超回復と呼んでいます。インターバルの翌日に次のポイントを置かない理由がこれです。
中学生のインターバル走メニュー
中学生は、本数より「設定どおりに全部走り切る」経験を優先してください。日本陸連の『競技者育成指針』も、中学校期(12〜15歳)にあたるステージ3では発育発達に応じたトレーニングと適正な競技会の出場回数を検討し、オーバートレーニングにならないよう留意するとしています。週の組み方は、手引き4章の表4「中長距離走の練習計画」が参考になります。
| 曜日 | 一般的準備期 | 専門的準備期 |
|---|---|---|
| 月 | ペースランニング4000〜6000m | ジョギング40分 |
| 火 | サーキット(8種目×3周) | ビルドアップ走4000m |
| 水 | 動きづくり、ジョギング30分 | クロスカントリー30分 |
| 木 | Rest | Rest |
| 金 | クロスカントリー40分 | ペースランニング3000m、テンポ走300m×2本(90%) |
| 土 | インターバル1000m×4〜6本(200mジョグつなぎ) | インターバル400m×10本(200mジョグつなぎ) |
| 日 | Rest | Rest |
インターバルは週1回・土曜で、木と日がRest。試合期の表4はインターバルを外し、火曜にレペティション(1000m×2、セット間30分)を置きます。ただし専門的準備期の表4は、火曜にビルドアップ走4000m、金曜にペースランニング3000m+テンポ走300m×2本と、インターバル以外にも強度のある日を置いています。「最高強度は週2回まで」を守るなら、火か金のどちらかを動きづくりとジョギングに置き換えてください。下表の設定は、3000m 11分00秒の選手をStep 2にかけた例です。
| 種目 | メニュー例 | 設定(3000m 11分00秒の例) | 休息 | 狙い |
|---|---|---|---|---|
| 1500m | 300m×6本 | 63〜64秒(換算66秒から2〜3秒速く) | 90秒 | スピード持久力(維持型) |
| 3000m | 600m×6本 | 2分12秒(換算どおり) | 2分 | VO2max |
| 3000m(直前期) | 400m×5本 | 1分28秒(換算どおり) | 2分 | レースペースの体感 |
高校生のインターバル走メニュー
高校生は専門種目が1500mか5000mかで骨格が変わります。1500mはスピード持久力寄り、5000mはVO2max寄り。設定の列は1500mが4分10秒、5000mが15分30秒の選手の計算値です(VO2max狙いの2行目だけは、後述の理由で3000m 9分00秒が基準)。
| 種目 | メニュー例 | 設定(例) | 疾走時間 | 休息 | 狙い |
|---|---|---|---|---|---|
| 1500m | 400m×8本 | 64〜65秒(換算67秒から2〜3秒速く) | 約65秒 | 90秒 | スピード持久力(維持型) |
| 1500m | 800m×6本 | 2分24秒(3000m 9分00秒の換算値) | 約2分24秒 | 2分 | VO2max |
| 5000m | 800m×8本 | 2分29秒(換算どおり) | 約2分29秒 | 2分 | VO2max |
| 5000m | 1000m×5本 | 3分06秒(換算どおり) | 約3分06秒 | 2分 | VO2max(枠をわずかに超える) |
| 共通(直前期) | 400m×5本 | 1500mは67秒/5000mは74秒(換算どおり) | 約67〜74秒 | 1〜2分 | レースペースの体感 |
疾走時間の列は、Step 3の枠(VO2maxは2〜3分、維持型は90秒以内)に全行が収まっているかの確認用です。4行目の3分06秒は枠をわずかに超えるので、守りきれないなら3行目に落とします。2行目が3000m基準なのは、1500mのレースペースをそのまま800m×6本に当てると、Long ITの反復回数(2分なら6〜10回)を同じ設定で走り切れないからです。VO2max狙いの換算だけは、1500m専門でも3000m以上のベストを使ってください。
週の置き方は、最高強度を火・土の2回に固定するのが基本形です。火に上の表から1行(1500m型は維持型、5000m型はVO2max)、土にもう1行。レース期は土を直前期の行に差し替えます。木と日のどちらかは完全休養にあて、残りはジョグ・動きづくり・補強です。
ポイント練習の前後を軽くするのも鉄則です。ローランドコーチは同レポートで、ポイント練習は「リカバリーを取らないと回復できない負荷のメニュー」であり、練習前は有酸素系を、練習後はロングジョグなどを入れて体力が落ちないようにしていると述べています。
市民ランナー・初心者のインターバル走メニュー
市民ランナーは練習日数が少なく、1回の疲労を引きずりやすい層です。インターバルは週1回から。平日の水曜か木曜に置き、週末はロングジョグ。週2回に増やすときは火と金のように中2日以上あけます。
| 5000mベスト | 1000m換算 | 600m換算 | 400m換算 | 300m換算 |
|---|---|---|---|---|
| 30分00秒 | 6分00秒 | 3分36秒 | 2分24秒 | 1分48秒 |
| 25分00秒 | 5分00秒 | 3分00秒 | 2分00秒 | 1分30秒 |
| 22分30秒 | 4分30秒 | 2分42秒 | 1分48秒 | 1分21秒 |
| 20分00秒 | 4分00秒 | 2分24秒 | 1分36秒 | 1分12秒 |
| 18分00秒 | 3分36秒 | 2分10秒 | 1分26秒 | 1分05秒 |
この換算値から、5000mが20分00秒の人の例を組むとこうなります。
| 目的 | メニュー例(5000m 20分00秒の場合) | 設定 | 疾走時間 | 休息 |
|---|---|---|---|---|
| 導入/レースペースの体感 | 400m×5本 | 1分36秒 | 約1分36秒 | 2分 |
| VO2max | 600m×6本 | 2分24秒 | 約2分24秒 | 2分 |
| スピード持久力(維持型) | 300m×8本 | 1分09〜10秒 | 約1分10秒 | 90秒 |
1行目の400m(疾走約1分36秒)は、VO2maxの枠にも維持型の枠にも入りません。形式そのものに慣れ、5kmのレースペースを刻む段階です。はじめの1か月はここ、2か月目からは2行目か3行目へ。5000mが30分00秒前後なら、400m×6本(2分24秒・休息2分)から。400m換算がちょうど疾走2分24秒で、Long ITの枠に収まります。
駅伝シーズン(10〜1月)と冬季の組み込み方
11月は疲れを抜く月|12月は「量を積む時期」とレースが重なる
手引きの年間スケジュール(表1)は、9〜10月を試合期(後半)、11月を移行期、12〜1月を一般的準備期、2〜3月を専門的準備期としています。移行期の目的は「心身の疲れをとり、1年間の反省をする」こと。都道府県駅伝や地区予選と重なる10〜11月は、まだ量を積む時期ではありません。インターバルは週1回に抑え、量を戻すのは12月からと割り切ってください。
一方で同じ表1は、試合予定の行の12月に全国駅伝を置いています。日本陸連の『2026年度主要競技会日程』(2026年7月27日現在)によれば、第34回全国中学駅伝大会は2026年12月13日、全国高等学校駅伝競走大会は12月20日、全国都道府県対抗駅伝は2027年1月17日・24日です。一般的準備期は「低めの質で多くの量をこなし、基礎体力を高める」時期ですから、12月の全国大会は量を積む時期のまっただ中にあります。
駅伝に出る選手の12月は、一般的準備期のまま走る月ではなく、短い専門的準備期を挟む月だと考えてください。手引きが試合期の中にも準備期(中間期)を設定するのと同じ発想です。
| 時期 | インターバルの置き方 | 合計距離 |
|---|---|---|
| 3週間前 | VO2max狙いを週2回 | 通常どおり |
| 2週間前 | VO2max狙い週1回+レースペース狙い週1回 | 1〜2割減 |
| 1週間前 | レースペース狙いを週1回のみ | 半分 |
最後の週に半分へ落とすのは不安でしょう。ただ、手引きは効果(適応)が開始から2〜3か月で出始めるとしています。1週間前の上積みが記録に返る時期はすでに過ぎ、疲労だけが残ります。
区間賞のペースは距離が変わってもほぼ同じ|公式記録を1km平均に直す
設定の基準は、前回大会の公式記録が教えてくれます。日本陸連が公開する男子第76回全国高等学校駅伝競走大会(2025年12月21日・京都)の記録集から、区間優勝者のタイムを編集部で1km平均に換算しました。
| 区間 | 距離 | 区間賞 | 1km平均 |
|---|---|---|---|
| 1区 | 10.0km | 28分20秒 | 2分50秒 |
| 2区 | 3.0km | 7分40秒(区間新) | 2分33秒 |
| 3区 | 8.1075km | 23分13秒 | 2分52秒 |
| 4区 | 8.0875km | 23分02秒 | 2分51秒 |
| 5区 | 3.0km | 8分36秒(2名) | 2分52秒 |
| 6区 | 5.0km | 14分09秒 | 2分50秒 |
| 7区 | 5.0km | 14分03秒 | 2分49秒 |
突出しているのは区間新が出た2区(1km2分33秒)だけ。残る6区間は、3kmから10kmまで距離が3倍以上変わっても1km平均が2分49〜52秒に収まります。優勝した学法石川の2時間00分36秒(高校最高新記録・大会新記録)も、42.195kmの平均で1km約2分51秒。駅伝の区間は「距離が短いぶん速く」ではなく、ほぼ同じペースを距離の分だけ持続する種目だと、公式記録の数字が示しています。
だから設定の基準は区間距離ではなく、目標とする1kmペースです。目標が1km3分00秒なら600mは1分48秒、800mは2分24秒。Step 2の換算値と並べ、差が大きいほうが課題です。
駅伝が終わったあとの1〜2月
一般的準備期に戻します。インターバルは週1回に減らし、陸連の用語集が「野外の自然な地形を、スピードを持続させながら走り続けるトレーニング」と定義するクロスカントリー走を1本。総量が増える時期ほど路面が効くので、手引きがジョギングについて勧めるとおり土や芝生を使ってください。冬季全体の時間配分は陸上の冬季練習メニュー|1日2時間で組む期分けと種目別プランにまとめています。

やりすぎのサイン|撤退ラインを先に決めておく
前出の文科省ガイドラインは、過度の練習・活動がスポーツ障害・外傷のリスクを高め、必ずしも体力・運動能力・技術の向上につながらないことを正しく理解するよう求めています。「効いている感」が出やすいインターバル走は、特に量が増えがちです。
| サイン | 考えられること | どうするか |
|---|---|---|
| 設定タイムが3本目から落ちる | 設定が速すぎる/疲労の蓄積 | 設定を戻すか、その日の合計距離を切る |
| ジョグがつらい・息切れする | 鉄欠乏や貧血の可能性 | 早めに医師へ相談 |
| 朝から疲れが抜けていない | 回復が追いついていない | ポイント練習を週1回に |
| すねの内側が走り始めに痛い | シンスプリントの初期 | 硬い路面をやめ、受診を検討 |
| 一点を押すと痛い・夜も痛む | 疲労骨折の疑い | 自己判断せず受診 |
| 練習に行く気が起きない | 精神的な疲労の蓄積 | 休養日を増やす |
「やりすぎ」は量だけの問題ではない
日本陸連の手引きはオーバートレーニング症候群を「生理的な疲労、精神的な疲労が十分に回復しないまま積み重なり、常に疲労を感じる慢性疲労状態となること」と定義し、中・高校期のスポーツ外傷・障害やその発生は「より高度な競技会に参加する選手や練習(トレーニング)量の多い選手ほど、その頻度が高まる傾向にあるといわれています」としています。
同研究室は長距離選手の傷害研究をこう整理しています。男子中・長距離選手27名の調査では計46例の傷害のうち炎症が37%、疲労骨折が14%で、半数以上が使いすぎによる障害(白木ほか, 1983)。部位別では膝関節が最多(樽本ほか, 2000)。量の目安は、1週あたりの走行距離が30.6kmで危険性が増加し始めるという報告(Stephen et al., 1989)。着地では下肢に体重の3〜8倍の力が加わり(Miller, 1990)、経験3年以内のランナーは障害の危険がより大きいとも指摘されています(Willen, 1992)。走り始めて3年以内なら、設定タイムより「翌々日に普通にジョグができるか」で本数を決めてください。
すねの内側の痛みについては、シンスプリントの治し方3ステップで疲労骨折との見分け方と休む期間の目安を解説しています。痛みが続く場合は自己判断せず、整形外科など専門家に相談してください。
「疲れやすい・動けない」は練習不足ではないかもしれない
日本陸連の「アスリートの貧血対処7か条」は、アスリートにもっとも多い鉄欠乏性貧血は食事、休養やトレーニング強度・量に気を配ることで予防でき、極度な食事制限やオーバーワークも貧血を招くとしています。4番目は「疲れやすい、動けないなどの症状は医師に相談」。設定が急に走れなくなったら、根性論に行く前にこの可能性を思い出してください。陸上の補食はいつ何を食べる?に練習後と試合当日の逆算をまとめています。
よくある質問
ウォームアップとダウンは何をしますか?
ジョグ15〜20分、動きづくり、流し3〜4本。ここまでで心拍と脚が上がっていないと、1本目から設定を外します。練習後はジョグ10分前後。ローランドコーチもポイント練習後にロングジョグを入れて体力が落ちないようにしていると述べています。ダウンも本数のうちです。
トラックが使えない日はどうしますか?
距離ではなく時間で区切ります。400m×8本なら、65秒走+90秒ジョグを8本。河川敷やロードでも同じ練習になります。ただし上り坂を使うと設定タイムの比較ができなくなるので、坂はインターバルとは別の日に。手引きは硬い路面の危険性を指摘しているので、選べるなら土や芝を優先してください。
ペース走との使い分けは?
陸連の用語集は、ペース走を「あらかじめ設定したペースで、一定の距離を走るトレーニング」と定義しています。設定ペースを保つ力そのものを鍛える練習です。インターバル走は休息を挟むぶん、1本の速度をレースペース以上に上げられます。同じ週に置くなら、片方を週の第1ポイント、もう片方を第2ポイントに。
レストは止まって休むのと、ジョグでつなぐのとどちらですか?
研究の分類表はLong ITの休息様式を完全休息とし、日本陸連の手引きは100〜200mのジョグとしています。陸連の公式資料と大学研究室のコラムで前提が分かれているわけです。実務的には、設定タイムを守れているほうを選んでください。ただし完全に立ち止まるなら、座り込まずに歩いて次のスタート地点まで戻ること。
ポイント練習が週1回しか取れない部活ではどう組みますか?
1回に3つの目的を詰めず、週をまたいで回してください。手引きは4〜8週間を単位とするメゾサイクルでの練習計画が重要だとしています。前出の研修会でも司会の榎本靖士氏(筑波大)が、ローランドコーチは4週間を1つのサイクルとして捉えており、すべての要素を常に強く練習すると適応がうまく起こらないと示唆しています。週1回なら4週間でVO2max→VO2max→維持型→レースペースと配れば、1か月で3つの目的に触れられます。
まとめ
- 疾走距離・本数・休息・設定タイムの4つで決まる。重要変数4つのうち2つが休息に関するもの
- インターバルは不完全休息、レペティションは完全休息(15〜20分)
- VO2max狙いは疾走2〜3分、維持型は疾走90秒以内で休息は疾走時間の1〜3倍。1000mである必然性はない
- 設定タイムはベストから割り算で出し、見直すときは設定・距離・休息のどれか1つだけ動かす
- 週11時間程度・休養日週2日以上という枠から、中高生の最高強度のポイントは週2回まで
- 全国高校駅伝の区間賞は、区間新の2区を除く6区間が距離3倍差でも1km平均2分49〜52秒。基準は区間距離ではなく目標の1kmペース
- 設定が落ちたら削るのは設定タイムではなく合計距離。ジョグがつらい・一点が痛むは受診のサイン
インターバル走は、設定と実走の差を記録して初めて次の一手が決まる練習です。1本目が何秒だったか、何本目から落ちたか、翌々日に脚が戻っていたか。この3つを残せば、2か月後には自分だけの早見表ができます。陸上練習ノートアプリTRACK HUBなら、設定タイムと実走タイム、自己ベストの推移をスマホで一元管理できます。



